講演録第1弾「非常識が未来を創る - パンドラの箱の真実 -」

この原稿は2011年6月28日に開催された「AGFAフェア2011東京」での株式会社吉田印刷所(新潟県五泉市)代表取締役社長吉田和久の講演の文字起こしを行い、内容を修正したものです。話の流れを分かりやすくするために順序の入れ替えや言い換えなどを行っていることを予めご了承ください。

1.はじめに

皆さん、こんにちは。新潟から参りました吉田印刷所の吉田と申します。

先程ご覧いただいた印刷物は、カラーの色見本のある方が前胴、後ろの3色の重ね文字の印刷面が後胴で刷ったものです。

印刷した機械はハイデルの菊全判8色機です。この機械は導入から13年目の機械です。

このロートルともいえる機械でも、十分に湿し水を絞ることができれば、これまで非常識と言われた本文の重ね文字の印刷も可能ということが実証されたと思っています。

この印刷物の見当性をご覧いただければ、前胴で刷った色見本の方のトンボが若干伸びておりますが、この程度であれば製品として一切問題がないと考えています。


それと額縁の中に入った印刷物がございますが、これはアグフアさんの本社があるベルギーの著名な写真家ダニエル・オストさんのポジを借りて、印刷サンプルとして皆さんに見ていただいているものです。

これで何を目指すかと言いますと、これまでにない超薄紙の枚葉印刷です。今後どこまでの薄紙の印刷ができるのか、チャレンジをしていきたいと思っています。

当社が使用する印刷機械はハイデルベルグ製ですが、ハイデルベルグさんのスペックですと、0.03ミリメートルまで印刷が可能となっています。このスペックが高いのか低いのか、あまり刷る方がいらっしゃらないので分かりませんが、私どもが印刷したこの紙は0.03ミリメートル以下です。0.025ミリメートルぐらいだと認識しております。そんな紙でも刷れますし、先程見ていただいた約款の紙も、今度0.02ミリメートルというサンプル用紙をメーカーさんから提供していただいて試験刷りをする予定になっています。

このチャレンジが成功したら、これまでと違う新しい薄紙の使い道が考えられると思っています。

「こんなのを刷って何に使うのか?」

ということになる訳ですが、それは後程のお話の中で説明させていただきたいと思っています。