講演録第1弾「非常識が未来を創る - パンドラの箱の真実 -」

9.徹底的に非常識を商品化していく

私は周りの人と同じ方向を向いて仕事をしようとは思っていません。周りの人と同じ方向を向いて仕事をして、お客様に有益な提案ができるのでしょうか。

先程もお話ししたとおり、お客様は印刷会社の常識を買おうとしているわけではない。印刷会社の思っている非常識な部分を求めているのだ、ということに気付きましたので、徹底して他社がやらない非常識を商品化していきたい。そんなふうに思い、今日様々なチャレンジをしています。


今後の事業展開の中で、薄紙の需要というのは間違いなく出てくると思っています。

環境問題という話で私の話の前に話題に出ましたが、森林保護のためにパルプの使用量を減らすというのであれば、私は薄紙に変えた方が良いと思いますし、これまで我々印刷業界が「薄紙は刷りにくいので、常識として刷りやすい紙を選んでいただかないと困ります」と業界に都合の良い常識を振りかざし、お客様にお願いしていたというのが実情ではないでしょうか。

そうではなく、私たちが、薄紙でも対応の取れる技術を身につける必要があるのです。私の会社は一生懸命、薄紙印刷に対するチャレンジを行っています。この印刷の仕組みを当社では「ライトプリント」と呼んでいます。

ライトプリントはこれまでの印刷物よりも薄くて軽い紙で印刷するシステムです。軽い紙、薄い紙を使って印刷物を作っていただければ、輸送コストや在庫スペースも少なくてすみます。それらを全て計算に入れたトータルコストで印刷物を見直してみませんか、というお話をお客様にすることができます。

皆さん既にお分かりのことと思いますけれども、約款だって保険金の不払い問題から見直しの指導があり、その中でビジュアル化に向かった動きが求められているところですね。

メディア選択の時代にあって部数が激減していくならば、これまでの輪転でなく枚葉印刷でやればいい。

これから大ロットの仕事はどんどんなくなっていきます。小ロット化していく仕事の中で、輪転ではなく枚葉で刷れる仕事が増える。これを新たな需要と捉え商品開発していかなければならないのではないかと思っています。

そのためには、薄紙対応の印刷技術が必須となります。