吉田 例えば、「印刷物の文字を3色掛け合わせで印刷することは、印刷業界の常識でしょうか?非常識でしょうか?」と聞かれた時に、業界の多くの方は「非常識」とお答えになると思います。しかし、当社では「3色で印刷するとこんなふうになります」と印刷サンプルをお見せ致します。
皆さんは「決まった色ならば特色で」というお話をされますが、何故特色をお勧めになるのか私には理解できません。その理由は、特色を使えばどんな場合でも同じ色が出るというわけではないからです。掛け合わせ文字の色をプロセスカラーで管理できるのであれば、その方が良いのではないかと思っています。これが可能となれば、私たちはもっと違う領域や次元で印刷を捉えることが出来ると考えています。
そのような思いで掛け合わせ文字の印刷にチャレンジしており、そのためには、当社の基礎技術である乾燥促進技術を更に高め、湿し水を徹底的に絞らなくてはなりません。
また、この乾燥促進技術を用いた更なるチャレンジとして、薄紙の印刷にも取り組んでいます。ハイデルベルグさんのスペックでは0.03ミリメートルが印刷可能な最も薄い紙とされていますが、こういった薄紙への印刷です。当社ではこれを「ライトプリント」と呼んでいます。
今まで使用していた紙をこのような薄紙に変更することで、パルプの使用量を大幅に削減し輸送する際の重量も軽くなります。「輸送コストやCO2の排出量でも、経済、環境の両面でこの仕組みは有効に機能するのではないでしょうか」、こんな提案を日々、機会があるごとに行っています。
本日は運良くこの提案結果の印刷を行っていますので、皆さんに後程お見せすることが出来るかと思います。これは0.04ミリメートルの紙の厚さです。完成した冊子の厚みはライトプリント導入前の4割減になるという仕事です。