本田 さて社長。色々な自動化や省力化を進められているかと思うのですが、そこで空いた時間についてはどのようにお使いでしょうか。
吉田 多能工教育ですね。
本田 多能工という言葉も、非常にシンプルな多能工から、そうでないものまで色々ありますけれども、御社ではどのようなお考えを多能工と呼ばれているんでしょうか。
吉田 単なる工程の統合ではなくて、その先の融合という部分に進めた形を、「多能工」と捉えています。
「全体最適」でもお話したように、当社ではCTPのオペレーターは印刷のサポートをし、また印刷のオペレーターはCTPの出力を自らが請け負うとい うことをやって、仕事の範囲を広げていっています。製本マシンである断裁機、折り機、無線綴じ機、中綴じ機等々、これらの製本機器のオペレーションも印刷 のオペレーターは既に習得しています。
私どもの会社では印刷と製本の垣根は20年程前になくなっており、その当時から生産部という形でひとくくりにしています。こういった体制を作っていくことが、これからの製造業に求められていることではないかと思いますし、その対応は十分に可能であると実感しています。
自動化で時間を作り出すというお話がありましたが、付け合わせについてはIGAS2011でハイデルベルグさんもデモンストレーションをされていま したね。当社はまだ手作業で行っている部分がありますが、この自動化を使えばもっと効率化されていくかと思って拝見しておりました。ハイデルベルグさんの 宣伝でございますけれども。
本田 ありがとうございます。私が言おうと思っていたんですけれども、社長におっしゃっていただけて、より説得力があったかと思います。(笑)IGAS2011では、付け合わせの自動化を出展させていただきましたが、このように吉田印刷所様は一歩一歩改善を考えて進められていらっしゃいます。
そして、多能工化も進めていらっしゃる。多能工化はこの業界ではかなり昔から言われていて、実践されているところもおありかと思います。
1つ、私がこの吉田印刷所様で驚いた点が、製版工程がごそっとないことでした。
印刷会社の組織編成というと、一般的には営業があり工務のような制作管理があり、その後プリプレスや製版があります。更にその後は、印刷があり加工があるという体制になっています。