講演録第2弾「非常識が企業を進化させる - 全体最適は社会も変える -」

15.あたりまえの到達点は徹底したメンテナンス-1

本田 ここまで自動化や多能工、エコロジー、エコノミーといったお話をしていただきましたが、基盤として絶対欠かせない、メンテナンスについてですね。メンテナ ンスはエコロジーというキーワードにも関わりが深く、今回のテーマの肝になるところだと思いますのでお話しいただけますでしょうか。


吉田 当社が今日商品化し、お客様にご提案申し上げております「小口分割印刷」「フレッシュプリント」「ライトプリント」「スーパーライトプリント」など様々な 印刷提案の基礎になりますのが、日々のメンテナンスです。もっと端的に言わせてもらえれば、機械が新台の状態をいつまでも保っていられるかが最も重要なポ イントだと思っています。

本日ご覧いただきますハイデルベルグのSM102、8色機は13年目の機械ですが、この機械で厚さ0.04ミリメートルの印刷物を刷っています。最 初は4500回転くらいしか上がらない状況でした。今日ご覧いただく際には、恐らく9000回転近くまで上がっているかと思います。(2011年11月現 在10000回転)

機械のメンテナンスをしっかりやることによって、極限まで湿し水を絞ることが可能ですので、今まで枚葉印刷が嫌がっていた薄紙の印刷も可能になりますし、特殊な紙の印刷も出来ます。特殊な紙と言えば、当社ではユポなどもあたりまえに刷れる状況になっています。


本田 湿し水を絞るには、メンテナンスなどで御社ならではの特別なことをされているのでしょうか。


吉田 いえ、特別なことなど一切行っていません。オフセット印刷の原理原則に基づいた、水と油の反発を利用した印刷方式で、その機能が最大限に発揮できる機械の仕立てに常に気を配っているということです。


本田 原理原則というと、社長はよく「あたりまえ」という言葉をお使いになりますね。このディスカッションの間にもたくさん出てきましたが、私も社長とお話ししていて、吉田社長は本当にあたりまえのことをおっしゃっているな、と思うのです。

こんな言い方をするとなんですけれど、特別な情報を聴けるということではなくて、社長とお話しすると、いつも基本に返らせていただけるのですね。原理原則にもう一度立ち戻らせていただける。そこが私たちにとって非常に勉強になっているところです。