松石社長 ディスカッション前の社長のお話で、「エコロジーとエコノミーは背反するものではなくて、両立すべきものである」というお話がありました。
オフセット印刷の基本として、湿し水を絞ってインキを絞るというのは、百人中百人の方が賛成すると思うのです。「それはオフセットの基本だよ」と。ですがそう言いながら、実際は湿し水をジャブジャブ出しても刷れる印刷、そこに甘んじている印刷会社が圧倒的に多いと思うのですけれども、それは印刷会社の怠慢だと思われますか。
吉田 怠慢というよりも、きっと怖くて刷れないんでしょうね。ある程度余裕を持って印刷することに慣れていますから。
どこまで湿し水を絞れるんだろうという意識よりも、湿し水を絞って汚れが出るよりは問題が起きないオペレーションで印刷しよう、という意識の方が勝ってますから、多くの印刷会社さんはそんな冒険はおやりになりません。しかしそれをやらないから、いつまでたっても乾燥が早くならない印刷をせざるを得ないのです。
しかし、当社では「どこまで湿し水を絞れるんだろう」と徹底的に追求します。これから先も、もっと絞れる可能性はないのか常に検証し、更に前に行こうとしています。
松石社長 湿し水を絞ってインキを適正量に絞ると、インキの使用量も減りますよね。湿し水も汚れが少なくなりますね。当然、ブロッキング防止パウダーは使わなくなる。そうするとコストが大きく下がります。
湿し水を大量に使い、インキ量を増やすと乾きませんから、やっぱりUV強制乾燥装置を入れなきゃ駄目だ、と結局また新しい設備投資が必要になり、お金も掛かる。UV強制乾燥装置を入れると、今度は電気代が掛かる。悪循環にどんどんどんどん入っていくわけですよね。
オフセット印刷の基本を守ることによって、乾燥が促進できて、UV強制乾燥装置という設備も必要なくなるという吉田さんの仕組みは、エコロジーとエコノミーが両立するという非常に良い例だと思います。