講演録第3弾「- そんな話聞いたことがない - だから非常識なのです」

5.乾燥促進印刷の副産物-1

松石社長 湿し水をジャブジャブ使うと、4色、8色と色を刷り重ねるうちに水分を含んだ紙はどんどん伸びていきますよね。それで位置ずれも起きる。水を使わなければ紙も伸びません。湿し水を絞って、インキを絞って、UV強制乾燥装置を使わない。それだけでも相当なコスト削減になっていると思うんですけれども、オフセット印刷という基本を守り抜くことによって、吉田さんが得られたものがあります。

「他で刷れないものが刷れる」、特に薄紙です。ハイデルベルグさんのギャランティ(保証)している紙の厚さが0.03ミリメートルなのですが、それを遙かに突破して0.02ミリメートルの薄さを鼻歌混じりで刷られていると。しかも両面4色で、位置ずれなく。


吉田 鼻歌は言い過ぎですよ。(笑)


松石社長 何の苦もなく刷られているから。(笑)そのあたりは良い副産物ですね。


吉田 そうですね。当社が今ご提案申し上げているのは、「今までの紙の厚さではなくて、もう何ランクか薄い紙で印刷物をお刷りになりませんか。薄くすることによって、パルプの使用量も少ないですから環境に大変良いですし、輸送コストや在庫コスト、更には管理コストもぐっと圧縮されますので、経済的メリットも出てくるんじゃないでしょうか」ということです。

今日は、この見学会のための印刷ではなく、日々行っている実際の仕事を皆さんにご覧いただきます。その中で、「今までよりも薄い紙を使って印刷しましょう」という提案を理解してくださったお客様の案件の印刷も行っており、これは0.04ミリメートルの紙です。

1番最初にスタートした時は4500回転くらいしか出なかったんですが、色々工夫して今では9000回転まで上がっています。もうちょっと上がるとは思うのですが、この辺りが限界でしょうか。(※平成23年21月に1万回転に到達)

このような取り組みをやっていきますとね、0.02ミリメートルの超薄紙にも印刷できます。これを、私どもでは「スーパーライトプリント」と呼んでいます。

会社案内に、その超薄紙の両面にミラー印刷をしたものを、そこにある総務の窓一面に貼ったものが載っています。貼ってみると、室温が1.5度下がりました。遮光性、遮熱性の効果もあるんだと分かりました。

こんな田舎ではそんなことはございませんが、今の都会の住宅事情を考えますと、隣との境が非常に接近しておりプライバシーなどの問題が問われていま す。そんな時に、この薄紙をちょっと貼っていただくと如何なものでしょうか。新たな商材として活用することが出来、きっと新しい需要開拓に繋がると自画自 賛しています。(笑)

でも、そんなことを考えながら、常に新しいジャンルにチャレンジをすることが今後とても大切だと思っています。