松石社長 これから皆さん見学されて、お気付きになると思うのですが、この工場は生産部門ですよね。こちらも見ていただきますが、二つに棟が分かれてらっしゃって、別棟がプリプレス……受注を受けてデータを作ってというところなんです。
吉田 データはね、ほとんど作りません。完全データ受けです。不完全なものに関しては私どもでお手伝いさしあげます。不完全ではないけれど、「もうちょっと見栄えするデータに作り替えて貰いたい」という要望は「印刷リフォーム」というパッケージでお受けしています。基本的にデータはお客様がお作りになります。
松石社長 今日ご覧いただくCTPはうちのCTPではないんです。プレートは当社の物ですけど。(笑)ハイデルベルグさんのCTPなのですが、印刷機の傍に置いてあるんですね。そうすることによって、CTPのオペレーターがいらないのでしょうか?
吉田 そうですね。CTPを印刷機の傍に設置するにあたって、プリプレスの部署にいたオペレーターにCTPと共に印刷工場に移動してもらいました。
当社では複数ジョブを面付けして、いかに効率良く印刷するかが生命線になっています。CTPの面付けオペレーターが後加工のことをしっかり理解していないばかりに、おかしな面付けをしてしまったり、あるいはとんでもない勘違いした面付けをしてしまって、刷り直すということは実際あるんです。
その点、当社では面付けオペレーターが印刷の現場におりますので、知識はどんどん豊富になってきます。更に毎日朝から晩まで面付けばかり行っているわけではありませんので、時間が空けば印刷機のメンテナンスのサポートをしたり、製本加工の仕事を担当したりしています。プリプレスの現場にいて、それしか知らないのではなく、自身を取り巻く環境の中で新しい仕事に携わるチャンスを与えました。これにより印刷と後加工の知識が豊富となり、面付け作業に生かされます。今はあたりまえのように、面付けのオペレーターが後加工にも関わり、逆に印刷のオペレーターがこれからやる仕事のプレートを出力するという作業を行っています。
松石社長 多能工化が色々なところで叫ばれていますけど、もうあたりまえのように実践されているということですね。
吉田 そうです。