講演録第4弾「私たちは価値の実をお客様と共に収穫する会社です。」

2.非常識な5つの常識-1

さて、本日の演題である「非常識な経営理念」について5つに区分して説明致します。

1つ目は『他社と同じ方向は向かない』ということです。同業他社と同じ方向には、過当な競争はあってもチャンスはないと思っています。

2つ目は『独自にこだわる』です。皆さんのお手元にある印刷物は、どこの印刷会社でも印刷することが可能です。よって当社が提供する印刷物は、他社にはない独自の価値を埋め込むことが重要となります。

3つ目は『潜在を突き詰める』です。既に表に出ている顕在化した仕事を追い掛けるのではなく、まだ表に出てこない潜在している仕事をどうやって嗅ぎ分けるかがとても重要だと考えています。

この3点は誰もが理解できるごく当たり前のことのように感じられますが、実際の行動となると中々実行に移せないのが現実です。逆に今からお話することの方が、実現性の薄い厄介な話と思われるかもしれませんが、これこそが日々の忍耐と努力が物を言うとても重要な部分なのです。

その4つ目は『臨機応変の対応』です。これまでがこうだったから、これからもこの通りにではなく、臨機応変の対応による全体最適化が必要と考えます。特に製造業の場合、この仕事はこの人でなければできない、この設備はこの人でなければ動かない。このような固定化した硬直状態をいつまでも続けているとその人が休んでしまった、あるいは何らかの都合で退社した場合、大変な痛手となります。危機管理の面からも、臨機応変に対応できる多能工のレベルを引き上げる仕組みを作っておかねばなりません。

当社では、以前まで分かれて作業をしていた刷版、印刷、製本の3部門を統合して生産部としました。誰もが操作可能な設備ではありませんが、常にサポート補助が出来る教育を行い、単なる手伝いではないオペレーションを目指したレベルアップを図っています。更に、段取り変更に掛かる作業を、部門統合で増えた人員の中で臨機応変に対応することで時間短縮を図り、次の行動に迅速に移行する訓練を日々オンジョブで行っています。