ただ今ご紹介に預かりました吉田です。私は本年度より新潟県印刷工業組合で環境労務委員会を担当しております。本題に入る前に、今日我々印刷業界の中で問題になっている「胆管ガン」について少しお話をいたします。
先般、関東甲信越静ブロック大会においてこの問題を取り上げ、これは印刷業界に対する信頼の基盤を大きく揺るがす社会問題との認識で一致いたしました。このことについて組合員の皆さんとも統一した考えを持つべきと思い、少しお時間をいただきます。
皆さんはこの「胆管ガン」の問題をどのように捉えておられるでしょうか。これは、我々商業印刷の業界で起こった話とは違う、色校正を専業とする別業界の話であると単純に区別できるような問題ではないと思っています。なぜならば、そこに仕事をお願いしているのは他ならぬ我々商業印刷分野の企業だからです。それ故に、色校正に対する本来の目的とその価値、そしてそのあり方を、今こそ真剣に議論すべき時だと考えます。
平台校正で上がってきた色校正には、本機で印刷する際その色再現で差異があることを、多くの利用者が経験しています。まずこの差異を正し、本機と整合性を得るための仕組みを早急に考える必要があります。
例えば、オンデマンドの印刷機で最終印刷を行うのであれば、皆さんは迷うことなくオンデマンド印刷機による本機校正を行うことでしょう。これは通常のオフセット印刷でも同様で、色校正には最終印刷を行う印刷機による校正が最も適していることを、業界人であるならば誰もが理解しているためです。ならば、簡易的な平台校正に最終結果を委ねるのではなく、実際の印刷機械で整合性の取れた色校正を行うべきです。
しかし、これを実際に行うためには解決すべき課題がいくつかあります。最初に解決すべき課題は「コスト」ですが、本機による色校正がオーケーであればそのデータは印刷機械に記録されているわけですから、本刷りで整合性の取れていない色校正に合わせ込むより、断然早くオーケーシートを出せるのは当然の結果と言えます。この本刷りにおけるセット時間の差を、本機による色校正の料金に反映することにより、現状に即した料金体系を作ることができます。このような考えを持って平台校正の比率を圧縮し、何よりも安全性の視点に立った改善へ向けてアプローチを行わない限りこの問題は解決しないものと考えます。