講演録第6弾「印刷の過当競争時代を生き抜く」

5.成功に踊らず次の一手へ-3

この提案を受け入れていただいたお客様の実例をお話し申し上げますと、今日どの病院にも導入されているパラマウントベッド様の場合は、弊社とお付き合いが始まるまでは年間の使用部数をまとめて作られておられました。しかし、このフレッシュプリントを使って毎月更新しながら、必要な部数を各営業所からインターネットを通じて弊社にオーダーが入ってくる仕組みに切り替えていただいたところ、現在ではほとんど捨てることのない無駄の出ないオーダーをされておられます。一括印刷で納めさせていた当時は、印刷物を山のように積んで在庫スペースの問題も含め大変厄介な管理状況が発生していたようです。

こうしたことはなかなか数字では上がってきませんが、利益を減らす無駄そのものではないでしょうか。このようなお客様のご苦労を解決していくことこそ我々の仕事と考えます。私共の仕事の目的は、発注者、利用者、そして製造者の満足を限りなく高めることであり、そのためには、それぞれの求めを徹底的に擦り合わせることが重要だと感じています。印刷物の最終的な価値判断は利用者にあります。利用者にとって見やすい、分かりやすい、使いやすい印刷物が、本来求められる基本的価値だと信じております。この価値に更なる機能価値を加味するために、印刷物は決して多く作らず、少なく作って使い切る、この考えをお客様により深くご理解していただくことが肝要です。

フレッシュプリントは営業が様々なお客様のところに訪問し直接説明を申し上げ、互いの情報を擦り合わせる各社各様のビジネスモデルです。それとは別に、ネットを介して行う「RiP」(Renewal Information Print)というメニューをこの度新たに作りました。これまで営業が受注していた仕組みをネットでできないか、日々模索を繰り返しとても難しい厄介なチャレンジをしています。これからのネットによる印刷ビジネスは、単に安さを訴求するのではなく、今までとは違う機能を印刷物に付加し、その価値を認めてもらう努力がとても重要になると考えています。