印刷物調達の費用が数百、数千万円といった高額料金になりますと、もはや消耗品等といった扱いにはなりません。この印刷物はお客様にとって、売上と利益を 得るための投資と捉えるべきです。ならば、その投資は何を以て担保しようとしているのかを、お客様と共に真剣に考えるべきなのです。
私はしませんが、皆さんの中にも株に投資をされている方がおられると思います。もし、どの銘柄に投資しても得られるリターンが同じであれば、何も考 えず悩むこともなく株を買うことができます。投資の世界でそのようなことが、現実に起きる訳などありません。しかし、それと同じような現象が、印刷の世界 で起こっているのです。値段さえ安ければ、どこでも良いとおっしゃるお客様が増えているのです。これはおかしい話ではありませんか。売上と利益を得るため の投資の対象であるべき印刷物が、具備した機能価値より値段の安さで判断されることを、皆さんはどうお考えになりますか。
印刷物の機能価値は、それぞれの提案によって違ってきて当然です。弊社はいつもお客様に、無駄な印刷物を作るのは止めましょうと提案しています。と ころが未だに多くの同業が、無駄の中にも売上と利益があればそれで良いと思っています。この考えがそもそも間違っているのです。作る側も使う側も無駄を出 しては駄目なのです。社会的にも環境面からも、もはや許される行為ではないことを誰もが認識しているのです。皆さんの会社で作っている印刷物は、本当に無駄なく作り、そして使われていると思われますか。
先程からお話ししているように、印刷物はお客様にとって投資の対象です。本日の演題であります「これからの印刷産業が目指すもの」の結論から申し上 げますと、「価格価値から脱却した機能価値を印刷物に吹き込む」ということになります。そのために、それぞれの会社がモノマネではない独自の価値を作るべ きだと思っています。これから弊社が取り組んできた独自の価値についてお話ししたいと思います。