ユニークな技術開発と安定運用
吉田印刷所の大きな特徴は、ユニークな技術を持つ印刷会社であることです。
印刷品質を高めながら、更に生産性も向上させたい。理想の印刷技術を求め、印刷オペレーションに関する研究を続けています。
乾燥促進印刷
オフセット印刷には印刷工程で湿し水という水が使われています。この湿し水をたっぷり使えば印刷が容易になりますが、その分乾燥に時間がかかり印刷物への汚れなども増え、生産性が下がる要因となっていました。
弊社では「湿し水をコントロールすることができれば、高品質・高生産性の印刷オペレーションは可能」と考え、徹底的な機械メンテナンスと卓越したオペレーター技能を駆使し、湿し水を極力使用しない状態で印刷することに成功しました。
こうして確立されたのが、乾燥性の大変高い「乾燥促進印刷」という技術です。
圧倒的な乾燥時間の短縮に成功
従来方法では印刷から後工程に12~24時間の乾燥時間を要しましたが、乾燥促進印刷は2時間程で後工程に移ることが可能です。
印刷トラブルの軽減
- 刷り出しから印刷中まで、印刷物が汚れにくい
- インキ濃度、着きが安定する
- 印刷物へのインキや水の飛散が減る
- 裏移りが減る
鮮やかな印刷仕上がり
湿し水を絞ることで網点がより鮮明になり、乾燥によるインキ濃度の低下(ドライダウン)も非常に少なく、鮮やかな仕上がりで印刷物をご提供できます。
環境にも優しい
湿し水を極力絞ってありますので、電力による強制乾燥装置を使用する必要がありません。また、湿し水やパウダーを最小限しか使いませんので省資源にもなります。
クリーンな労働環境
乾燥時間が短いことで、紙の貼り付きやインキの裏移りを防止するために吹き付けるパウダーが大幅に削減され、工場環境のクリーン化にも効果を発揮しています。
弊社の「乾燥促進印刷」は、突飛な発明から生まれたわけではありません。
印刷技術の基本を徹底的に追求し、機械が常に新品同様に保たれるようメンテナンスを行い、工場が安定稼動しているからこそ、難易度の高い技術も生まれてくるのです。
薄紙印刷
乾燥促進印刷は湿し水を絞って印刷するため、位置ずれが起きにくいという特性があります。これにより平版印刷機では超難関とされていた薄紙へのフルカラー印刷も可能になりました。
ハイデルベルグ社がギャランティしている紙厚を超えた薄さ0.020mm(10.5g/m2)への印刷にも成功しています。
更に紙種を増やすべくチャレンジを重ねています。
- 2012年 5月
- 0.035mm(20.0g/m2)の安定印刷に成功
- 2012年 6月
- 0.024mm(25.8g/m2)の安定印刷に成功
- 2013年 9月
- 0.042mm(20.0g/m2)[不織布・ナガロン]の安定印刷に成功
- 2015年 3月
- 0.045mm(17.0g/m2)[美濃和紙・みや美№018]の安定印刷に成功
- 2015年10月
- 0.020mm(10.5g/m2)[美濃和紙・雁皮紙]の安定印刷に成功
高精細スクリーニング
乾燥促進印刷から5年。更にメンテナンスを強化することで、AMスクリーニングに加え、FMスクリーニング、ハイブリッドスクリーニングでの印刷も安定稼働しています。薄紙印刷はすべてFMスクリーニングで行われています。
印刷技術の基本を忠実に再現した結果、実現した「乾燥促進印刷」。そこから生まれるハイクオリティな印刷物を、是非ご実感ください。
マイスタースクールによる技術指導
「乾燥促進印刷」は乾燥が早いため、UVなどの強制乾燥装置を必要としません。これは設備費用を抑制し、環境にも負荷のかからない、エコノミーとエコロジーを両立させる印刷技術だということです。
弊社ではこの「乾燥促進技術」を、弊社だけのものではなく印刷業界全体で取り組むべき手法であると考え、ハイデルベルグ・ジャパン株式会社様と共同で、乾燥促進技術を学ぶことができる「マイスタースクール」を行っています。(有料)
メーカーへの開発協力
インキ開発
インキの速乾性や色を構成する要素のひとつである網点の再現性など、印刷現場からの評価情報をインキメーカーに細かくフィードバックしております。
実際にインキを使う現場からのフィードバックによって、迅速で的確な共同開発体制を実現しています。
刷版開発
乾燥促進印刷をベースとした弊社の印刷現場では刷版の再現性・耐刷性・安定性などについて、よりシビアな品質が求められます。
メーカーテストでは分からない印刷現場からの評価情報をいち早くメーカーに提供し、刷版の品質改良に協力しています。