問題の状況
Illustratorで塗りにグラデーションを使用する場合、場合によってはグラデーションの印刷でトーンジャンプを起こす場合があります。
トーンジャンプはバンディングとも呼ばれ、急激に色の変化を起こす領域が発生して色の段差が生まれていることを示します。
トーンジャンプの軽減方法は、保存時に対応する方法と、グラデーションを画像化して加工する方法があります。
EPS保存する際にPostScript 3保存してトーンジャンプを軽減する
Illustrator EPS保存する際にPostScript 3保存すると、PostScriptの機能でグラデーションの品質が向上し、トーンジャンプの現象を改善できる場合があります。
Illustrator形式やPDF形式の保存ではこのような設定はありません。
グラデーションを画像化してトーンジャンプを軽減する
グラデーションを画像化し、ノイズを少しだけ加えると、トーンジャンプの発生をある程度減少させることができる場合があります。
これは印刷時に網点が特定の濃度で急激に接近し、急激にカラーが変化(トーンジャンプ)することに対して、意図的にノイズを入れ、カラーを散らすことで回避できることがあるからです。
全チャンネル(CMYK)を使う場合
Illustratorで作成したグラデーションをPhotoshopで開きます。
全体を選択し、メニューから「フィルタ」→「ノイズ」→「ノイズを加える」を選択します。
「ノイズの量」を設定し、ノイズをわずかに加えます(わからない程度)。
特定のチャンネルを使う場合
Illustratorで作成したグラデーションをPhotoshopで開き、使用しているカラーのチャンネルをひとつ選択します。
今回の例はブラック1色(グレー)のグラデーションなので、ブラックを選択します。
全体を選択し、メニューから「フィルタ」→「ノイズ」→「ノイズを加える」を選択します。
「ノイズの量」を設定します。ノイズを目立ちすぎない程度に加えます。
今回は3%にしました。
ほかに使用しているカラーがあれば、ほかのカラーのチャンネルを選択し、同様にノイズを加えます。
今回はブラック1色なのでこれで終わりです。実際に試したものを以下に掲載するので、クリックして拡大して見てください。
ノイズを加えた場合の注意
グラデーションが白(C0% M0% Y0% K0%)から始まっている場合は、この方法を行うと、白の部分に1%~2%程度のカラーが入ってしまいます。
このカラーは印刷で表現されてしまうことがあるので、Photoshopの「色調補正」の「トーンカーブ」などで1~2%程度白く飛ばすようにしてください。
関連情報・参考資料
- Illustratorでトーンジャンプが発生しやすいグラデーションの長さについて(DTPサポート情報)