Illustrator 10でPDF変換するとグレースケールがオーバープリントにならない現象について

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概要

このページではIllustrator 10から直接PDF変換した場合のプロセスカラーとグレースケールのオーバープリントの挙動の違いについて掲載しています。


実例

Illustrator 10で以下の様なデータを用意します。

景はC100%の長方形オブジェクトです。

Illustrator 10のオーバープリントブラック(1)

▲C0% M0% Y0% K100%の文字


Illustrator 10のオーバープリントブラック(2)

▲グレースケールで100%の文字


Illustrator 10のオーバープリントブラック(3)

▲C0% M100% Y0% K0%の文字


Illustrator 10のオーバープリントブラック(4)

▲C0% M0% Y100% K0%の文字


すべてのオブジェクトを選択して、メニューから「フィルタ」→「カラー」→「オーバープリントブラック」を選択します。

Illustrator 10のオーバープリントブラック(5)


オーバープリントブラックのダイアログは以下の様に設定して「OK」をクリックします

Illustrator 10のオーバープリントブラック(6)


C0% M0% Y0% K100%の文字、グレースケールで100%の文字ともにオーバープリントが適用されていることが確認できます。

Illustrator 10のオーバープリントブラック(7)

Illustrator 10のオーバープリントブラック(8)


このIllustratorファイルをメニューから「ファイル」→「別名で保存」を選択してPDF形式にて保存したもの(設定は「[1038]Illustrator10から直接PDFを作成する際の設定について」などをご覧下さい)をAcrobatで開き、「出力プレビュー」パレットを表示します。†1

Illustrator 10のオーバープリントブラック(9)

▲画面はAcrobat 8 Professionalです。


「出力プレビュー」で「プロセスブラック」のチェックを外し、CMYのカラーだけを表示させると、グレースケールの文字にオーバープリントブラックを適用した部分にオーバープリントが適用されず、ノックアウト(ヌキ)の状態になっていることがわかります。

Illustrator 10のオーバープリントブラック(10)


原因

これはCMYKのカラースペースとグレースケールのカラースペースが異なるため、オーバープリントが有効にならなかったと考えられます。

一般的な運用として、CMYKのK版≒グレースケールとして扱われますが、必ずしもCMYKのK版=グレースケールであるとは言えないので、PDF変換の際の計算の結果、このような結果になったと考えられます。


回避方法

Illustrator 10からPostScriptファイルまたはEPSファイルを書き出して、Acrobat DistillerPDF形式に変換することで、プロセスブラックのオーバープリントもグレースケールのオーバープリントもともに適用されたままPDF変換されます。(Illustrator 10+Acrobat Distiller 8で検証)


もしくはグレースケールのオブジェクトは使用せず、すべてCMYKプロセスカラーで作成します。


関連ページ

PDFのDeviceGray?オブジェクト - PDF運用におけるオーバープリントについて - DTPWiki

  • †1: Acrobat 8 Professionalの場合、メニューから「アドバンスト」→「印刷工程」→「出力プレビュー」です