印刷用データとしてのファイル形式
印刷用データとして入稿される形式には以下の様なものがあります。(※1)
- アプリケーションドキュメント(ネイティブファイル)
- PostScript形式のファイル
- EPS形式のファイル
- PDF形式のファイル
- PDF/X形式のファイル
- TIFF形式のファイル
- その他の形式のファイル
こうした様々なファイル形式での入稿があるわけですが、ファイル形式の違いにより、どのような違いがあるのかを端的にまとめたものが以下の図です。(※2)
アプリケーションドキュメント(ネイティブ)での入稿は、修正・編集ができる点において柔軟性は最も高いデータとなります。
反対に信頼性の観点からはファイルを開く環境によってデータの再現性が左右される可能性が最も高いため、信頼性は最も低いデータといえます。
わかりやすい例としては、開いた環境のフォントの有り無しによって文字の形状が変化してしまうといったことが挙げられます。
PostScript・EPS形式のファイルはアプリケーションから書き出されたことで、そのファイルの中にページサイズ情報やフォント情報などを含むことができるため、アプリケーションドキュメントより信頼性が高いといえます。
しかし、アプリケーションドキュメントの形式ではないため、アプリケーションで修正や編集を行うことが難しくなり柔軟性は低くなっています。
PDF・PDF/XはPostScript・EPSファイルより更に多くの印刷情報を含む事ができる様になっており、データの信頼性は更に高いものとなっています。逆に修正・編集は困難です。
PDFよりPDF/Xは印刷に関わる条件が厳密に決められた形式になっているため、同じPDFでもPDF/Xの方が信頼性は高くなります。
TIFF/IT形式はラスタライズ(画像化)されたデータで、出力の信頼性は更に高いデータです。
しかし、元々文字データやベクトルデータであったものも、全てラスタライズされているので修正・編集は極めて困難です。
CopyDotは網点を表しているので、最も刷版に近いデータといえます。
出力の信頼性は最も高いですが、修正・編集は最も困難な形式と言えるでしょう。
現在では
現在では以下の図で紹介しているファイル形式での入稿が考えられるでしょう。
TIFF/IT形式とCopyDot形式は、1bit TIFFという網点を表現した画像データに役目が置き換わっています。
この1bit TIFFは網点を表していますので、出力の信頼性は最も高いですが、修正・編集は最も困難な形式と言えます。
まとめ
このように印刷用データの入稿には様々な形式のファイルがあります。
どの形式で入稿するかは入稿先との事前の打ち合わせが重要ですが、入稿先での修正・編集を伴わないワークフローの場合、安定した出力・印刷を行うために、より高い信頼性のある形式での入稿をするべきです。
現実的には1bit TIFFは面付けソフトウェアの都合や、CTPの出力解像度の違いなどにより利用できない場合も多くあります。
このため、より安定した出力・印刷のための入稿データとしてはPDF/Xの形式が指定されることが多いのです。
注
このページはGlobal Graphics Software社の『PDF/X Frequently Asked Questions (Nov 2005)』を参考にして作成しました。