IllustratorやInDesignでは、オブジェクトにオーバープリントの設定と乗算の設定ができます。
オーバープリントと乗算は似ているのですが、オーバープリントでは上に乗るオブジェクトのCMYKが優先されるという点が大きく異なります。
例は以下の「オーバープリント」のページをご覧ください。
オーバープリント・ノセ の意味・解説|カラー|デザイン・編集・製版工程|DTP・印刷用語集
それではオーバープリントと乗算を同時に設定したらどうなるのでしょうか?
Illustratorで検証
Illustratorにて以下のようにオブジェクトを配置します。
背面に「M50+Y50」のオブジェクト、前面に「C100」のオブジェクトを3点配置します。
右上が「乗算のみ」、左下が「オーバープリントのみ」、右下が「乗算とオーバープリント」を適用しています。
※画面表示はオーバープリントプレビューをしていない状態です。
このデータを実際に出力すると以下の様なデータになります。
右上の重なっている部分は「C100+M50+Y50」、左下の重なっている部分は「C100+M50+Y50」、右下の重なっている部分は「C100+M75+Y75」となります。
右下の重なっている部分の処理は、まずオーバープリントの処理が行われてから、改めて乗算の計算が行われていることになります。
このため、他の2点のカラーより濃くなります。
計算としてはオーバープリントの処理が終わったオブジェクト「C100+M50+Y50」を乗算で背景の「M50+Y50」と合成するのでM・Yの値は以下の計算式となります。
- (1-((100-50)÷100)×((100-50)÷100))×100=75
※計算式については以下のページをご覧ください。
Illustrator・InDesignのオーバープリントと透明効果の乗算の違い|DTPサポート情報
結論
オーバープリントと乗算は同時に設定しても有効です。
ただしオーバープリントプレビューで確認しないと、最終的なカラーがわからないため、入稿するデータは必ずオーバープリントプレビューで確認してからご入稿ください。
関連情報・参考資料
- オーバープリント(DTP・印刷用語集)
- Illustratorのオーバープリントと透明効果の乗算の違い(DTPサポート情報)