Illustratorではアピアランスの機能でオブジェクトへドロップシャドウ(影)を付けることができますが、ドロップシャドウのカラーの種類によって、描画のされ方が異なる現象について説明しています。
Illustratorのバージョンによって、スポットカラー(特色)とプロセスカラーでぼかしの位置・サイズが異なるので、注意が必要です。
実例:Illustrator CCの場合
Illustrator CCで作成しています。
Illustratorで、スポットカラー(特色)であるDIC 182sを使用した長方形オブジェクトと、プロセスカラーのC100%(シアン100%)を使用した長方形オブジェクトを用意します。サイズは50×50mmとします。
それぞれのオブジェクトにアピアランスで「スタイライズ」→「ドロップシャドウ」を選び、以下の設定をします。
- 描画モード :乗算
- 不透明度 :90%
- X軸オフセット:20mm
- Y軸オブセット:20mm
- ぼかし :5mm
ぼかしのカラーはそれぞれDIC 182sとC100%とします。
すると、DIC 182s(スポットカラー・特色)とC100%(プロセスカラー)のオブジェクトのドロップシャドウのぼかしの位置が異なることがわかります。
下の画像の黒線の枠はドロップシャドウの中心から50×50mm・60×60mmの位置に配置してあります。
DIC 182sよりC100%の方がぼかしのサイズが大きくなっていることが確認できます。
これはIllustrator CCの仕様のようです。
参考:Illustrator CS5・Illustrator CS6の場合
Illustrator CS5で同じデータを作成すると、DIC 182s(スポットカラー・特色)とC100%(プロセスカラー)のオブジェクトのドロップシャドウのぼかしの位置は同じです。
Illustrator CS6で同じデータを作成すると、DIC 182s(スポットカラー・特色)とC100%(プロセスカラー)のオブジェクトのドロップシャドウのぼかしの位置は異なります。(Illustrator CCと同じ)
原因について
Illustrator CS6からアピアランスの「ドロップシャドウ」の仕様が変更になったため、違いが発生していると考えられます。
Adobe Illustrator CS6 の「ドロップシャドウ」、「光彩(外側)」、「ぼかし(ガウス)」の各効果において仕様変更が行われています。そのため、Illustrator CS6 で作成したアートワークを CS5 以前の形式で保存すると、これらの効果は分割・統合されます。
一部効果の仕様変更について(Illustrator CS6)
回避方法
ありません。
参考
Twitterの@moriwatyさんのツイートを参考に検証しました。検証データも@moriwatyさんのデータを元に作成しています。
#特色ドロップシャドウ 特色とプロセスとでボケ足の出方が違うんですが、これってこういうもんですか(´皿`;)>イラレCC
— モリオ (@moriwaty) April 22, 2014
CS3aiです→ http://t.co/Ouv0uc4a3Ehttp://t.co/68aRq513HG
検証用データ
Illustrator CS5・Illustrator CS6・Illustrator CCで開ける検証用データを用意しました。
ご確認下さい。