PDFのファイルサイズを小さくする方法(Acrobat Pro使用)

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PDFのファイルサイズを小さくする方法(Acrobat Pro使用)
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概要

このページでは、Adobe Acrobat Proを使って、PDFファイルのサイズを小さくする(ファイルサイズを落とす)方法を紹介します。

印刷用のPDFから、画面で閲覧するタイプのPDFへ変換します。

ここで紹介する手順で作業したPDF印刷PDFとして使用しないでください。

PDFのファイルサイズを小さくするポイント

PDFのファイルサイズを小さくするポイントは以下の3点です。

  • カラー変換
  • 画像の解像度の調整
  • 不要なデータの削除

この3点をAdobe Acrobat Proで作業していきます。

変換元のPDFはできる限りPDF/X-1aではなく、PDF/X-4の透明効果が残っているPDFデータの方がファイルサイズが小さくなる傾向にあります。

PDF/X-1aのPDFデータは、透明効果が使えないため、画像化や文字や図形のアウトライン化などが行われているため、PDF/X-4のPDFデータの方が、元データに近く構造がシンプルであるためです。

どのくらいファイルサイズが小さくなるのか

今回、例としてファイルサイズが22.78Mバイトの印刷PDFファイルを用意しました。

InDesignで作成された8ページの会社案内で、画像が多く入っている印刷PDFです。

変換前のPDF:ファイルサイズは22.78MB
変換前のPDF:ファイルサイズは22.78MB

今回の例で使ったPDFの最適化を行ったらPDFのファイルサイズは2.38Mバイトまで縮小されました。

最初の22.78Mバイトと比べると、ファイルサイズは90%も減少しています。

変換後のPDF:ファイルサイズは2.38MB
変換後のPDF:ファイルサイズは2.38MB

PDFのファイルサイズを小さくする手順

それではAdobe Acrobat Proを使ってPDFのファイルサイズを小さくする手順を紹介します。

※新しいUIの画面はAdobe Acrobat Proバージョン2025.001.20432、以前のUIはAcrobat Pro DCです。

CMYKカラーからRGBカラーへの変換

Adobe Acrobat ProでPDFファイルを開きます。

新しいUIの場合

すべてのタブから「印刷工程を使用」をクリックします。

すべてのタブから「印刷工程を使用」を選択
すべてのタブから「印刷工程を使用」を選択

「色を置換」をクリックします。

「色を置換」を選択
「色を置換」を選択

以前のUIの場合

タブの「ツール」をクリックし、「印刷工程」のアイコンをクリックします。

タブの「ツール」→「印刷工程」のアイコンを選択
タブの「ツール」→「印刷工程」のアイコンを選択

「色を置換」をクリックします。

「色を置換」を選択
「色を置換」を選択

以下は新しいUI、以前のUIで同じです。

「色の置換」のダイアログの出力インテントの項目の「カラーを出力インテントに変換」にチェックを付け、プロファイルを「sRGB IEC61966-2.1」を選択して、「OK」をクリックします。

「色の置換」のダイアログの設定画面
「色の置換」のダイアログの設定画面

するとカラーがすべてRGBカラーへ変換されます。

※「Adobe RGB(1998)」を選択してRGBへカラー変換をすると、変換後のPDFをブラウザーで開いたときに色調の変化が大きいことがあります。

この状態で名前を付けて保存すると、ファイルサイズが16.83Mバイトになっており、22.78Mバイトから26%縮小したことが確認できます。

ファイルサイズは16.83MBまで縮小
ファイルサイズは16.83MBまで縮小

画像や情報を最適化

新しいUIの場合

メニューから「その他の形式で保存」→「最適化されたPDF」を選択します。

メニューから「その他の形式で保存」→「最適化されたPDF」を選択
メニューから「その他の形式で保存」→「最適化されたPDF」を選択

以前のUIの場合

メニューの「ファイル」→「その他の形式で保存」→「最適化されたPDF」を選択します。

「ファイル」→「その他の形式で保存」→「最適化されたPDF」を選択
「ファイル」→「その他の形式で保存」→「最適化されたPDF」を選択

以下は新しいUI、以前のUIで同じです。

互換性を変更

PDFの最適化」のダイアログの右上にある「互換性を確保」を「Acrobat 10.0 およびそれ以降」にします。

「互換性を確保」を「Acrobat 10.0 およびそれ以降」に変更
「互換性を確保」を「Acrobat 10.0 およびそれ以降」に変更

画像の解像度圧縮方法の調整

PDFの最適化」のダイアログで「画像」の項目を選択し、画像の設定を以下の様に設定します。

カラー画像
  • ダウンサンプル:ダウンサンプル(バイキュービック法)
  • 150ppi
  • 次の解像度を超える場合:150ppi
  • 圧縮JPEG2000
  • 画質:中
モノクロ画像
  • ダウンサンプル:ダウンサンプル(バイキュービック法)
  • 150ppi
  • 次の解像度を超える場合:150ppi
  • 圧縮JPEG2000
  • 画質:中
白黒画像
  • ダウンサンプル:ダウンサンプル(バイキュービック法)
  • 600ppi
  • 次の解像度を超える場合:600ppi
  • 圧縮:CCITT Group 4
PDFの最適化:画像の設定画面
PDFの最適化:画像の設定画面

不要なデータの削除

「オブジェクトを破棄」の項目を選択し、項目すべてにチェックを入れます。

PDFの最適化:オブジェクトを破棄の設定画面
PDFの最適化:オブジェクトを破棄の設定画面

「ユーザーデータを破棄」の項目を選択し、項目すべてにチェックを入れます。

PDFの最適化:ユーザーデータを破棄の設定画面
PDFの最適化:ユーザーデータを破棄の設定画面

「最適化」の項目を選択し、以下の画像の様に設定して、「OK」をクリックします。

PDFの最適化:最適化の設定画面
PDFの最適化:最適化の設定画面

元のPDFとファイルサイズを小さくしたPDFを比較

元の印刷PDFとファイルサイズを小さくしたPDFとで画面上でどの程度見え方が違うのかを比較してみます。

それぞれのファイルをAdobe Acrobatで表示してみます。

元と変換後のPDFの比較(1)
元と変換後のPDFの比較(1)
元と変換後のPDFの比較(2)
元と変換後のPDFの比較(2)
元と変換後のPDFの比較(3)
元と変換後のPDFの比較(3)

違いを感じる部分を挙げると以下のとおりです。

  • 文字のカラーの濃さが違う
  • ドロップシャドウの濃さが違う
  • カラーの表現が少し異なる

ただし、全体的に見て、画面上で見る用途であれば大きな問題にはならないのではないでしょうか。

なお、上記の点が気になる場合は「カラーの変換」は行わず、「画像の解像度の調整」「不要なデータの削除」のみを行うことで表現の違いを回避できます。

今回の8ページの例でカラーの変換だけ行わない場合はファイルサイズは2.95Mバイトになりました。RGBカラーに変換したものでは2.39Mバイトなので、差は500Kバイト程度ですが、ページ数が多くなった場合には差が大きくなっていく可能性があります。

繰り返しになりますが、ファイルサイズを小さくしたPDF印刷PDFとして使用しないでください。

PDFのファイルサイズを小さくするにあたっての注意点

今回紹介した方法では以下の注意点があります。用途に応じて設定を変更して変換してください。

  • RGBカラーへ変換した際にオブジェクトの効果が消えてしまうことがあります。
  • 画像の解像度を調整した際に、画像が意図しない状態へ崩れてしまうことがあります。
  • 画像の解像度などは、画像の内容によっては画像の意図が読み取れなくなる場合もあります。その際には適切な解像度へ設定して変換してください。
  • 検索用の情報やしおりデータなどを削除するため、アクセシビリティが低下するおそれがあります。