概要
Illustratorのオブジェクトで、アピアランスの設定にて「非表示」になっているものと、他のオブジェクトを同時に選択したまま、オーバープリントの設定を変更すると、アピアランスの設定が変更され、「表示」の状態になってしまうトラブルについて解説しています。
このトラブルはアピアランスが「表示」だったものが「非表示」になる逆のパターンも存在します。
トラブルがわかりやすい例
まずはわかりやすい動画をご覧ください。
【まとめてOP属性の変更は危険】なるだけたくさんの人に、コワさが周知されますように…('A`) pic.twitter.com/6O84N0Cjfb
— モリオ (@moriwaty) 2018年2月1日
トラブルの実例
Illustratorで以下のようなデータを作成します。文字オブジェクトとパスオブジェクトが重なっているデータです。
最前面にある文字オブジェクトの黒文字に白フチの文字のアピアランスは以下のように設定されています。
塗りと線のアピアランスだけでできています。
その他のオブジェクトは、線のアピアランスが「非表示」になっています。
全部のアピアランスを「表示」にすると以下のようになります。
最初の状態でオブジェクトをすべて選択します。
この状態で「属性」パネルの「線にオーバープリント」のチェックを入れると、以下のように他のオブジェクトのアピアランスが変化し、「非表示」だったアピアランスが「表示」されています。
このようなトラブルです。
別の実例
先程と同じようなデータを作り、今度は、最前面の文字オブジェクトの塗りのアピアランスを「非表示」にしておきます。
すべてのオブジェクトを選択します。
選択した状態のまま、「属性」パネルの「塗りにオーバープリント」にチェックを入れると、以下のように他のオブジェクトのアピアランスが変化してしまいます。
今度は「表示」だったオブジェクトが、「非表示」に変化しています。
トラブルの原因
(z-)そよ風邪さん、ものかのさんの調べによれば、オーバープリントの設定をするときに、前面にあるアピアランスの設定が、他の選択オブジェクトに反映・伝染してしまうために、アピアランスが意図しない変化が発生していると考えられます。
ですね、再現したのは、線が表示になっているオブジェクトor塗り線が未設定のグループオブジェクト が前面にいる時っぽいです。同時に選択された、背面にいる、線が非表示のオブジェクトがやられる。
— (z-)そよ風邪 (@AJABON) 2018年2月1日
取り消しですんなり元に戻ってくれるのがほんのり救いかなあ…
発生状況を探ってみたところ、
- 複数のオブジェクトを選択し、属性パネルのオーバープリントチェックボックスをクリックすると、前面オブジェクトの「アピアランスの線と塗り」の表示/非表示状態が、選択オブジェクトすべてに反映される。
こういうことだと思うのですが、どうでしょうか。
オーバープリントの変更でアピアランスで非表示になっているものが表示されます(Adobe Community)
トラブルの対処方法
「属性」のパネルでオーバープリントの設定をするときには、複数のオブジェクトを不用意に選択しないようにする。
「属性」のパネルでオーバープリントにするだけではなく、解除するときにも同じトラブルが発生します。印刷データの修正でオーバープリントをまとめて解除を行う作業も考えられますが、作業を慎重に行う必要があります。
(検証が完全ではありませんが「編集」メニューにある「カラーを編集」→「ブラックオーバープリント」の適用では、アピアランスが変化しないようです)
検証用データ
実際に検証できるデータをダウンロードできるようにしました。
Illustrator CC 22.1(いわゆるIllustrator CC 2018)で作成しています。
関連情報・参考資料
- モリオさんのツイート: "【まとめてOP属性の変更は危険】なるだけたくさんの人に、コワさが周知されますように…('A`)… "(Twitter)
- オーバープリントの変更でアピアランスで非表示になっているものが表示されます(Adobe Community)