Illustratorで再編集しやすい表組を簡単に作る方法と注意点【CCライブラリ使用】

  • 公開:
  • 更新:
  • 制作/編集:
Illustratorで再編集しやすい表組を簡単に作る方法と注意点【CCライブラリ使用】

グラフィックソフトのIllustratorで表組を作るのって割と面倒ですよね。

対して、組版ソフトのInDesignでは表組の機能が最初からあるので、「Illustratorでもこの機能が搭載されれば良いのに…」と思うこともあるかもしれません。

(2018年11月現在、Illustratorに表組機能はありません)


Illustratorをメインで使用されている方は、InDesignの表組の機能と、Creative Cloudライブラリ(CCライブラリ)の機能を使うことで、簡単に、そして再編集しやすい表組を作ることができます。

その方法と注意点を解説します。


なおこの方法は、お~まちさんのツイートと、ブログの内容を参考に作成しています。

目次
Loading...

Creative Cloudライブラリ(CCライブラリ)とは

Creative Cloudでは、いわゆるCC 2014から「CCライブラリ」という機能で、データの共有機能が搭載されました。

こりゃ本当に便利! 共有機能追加の Creative Cloud ライブラリ - Adobe Blog

前のアドレスが消失していたため新しいアドレスに変更(2022/07/28)


CCライブラリの登場で他の方とのデータ共有が便利になりましたが、自分ひとりの利用でも、アプリ間のデータの共有が簡単にできるようになって便利になりました。

今回はこの機能を使用します。(ただし今回使うCCライブラリの機能はCC 2015以降の機能になります)


手順

まずInDesignで表組を作成します。

InDesignで表組を作成


そして、この表組が入っているテキストフレームをCCライブラリパネルにドラッグ&ドロップします。

表組が入っているテキストフレームをCCライブラリパネルにドラッグ&ドロップ


このとき、WindowsではCtrlキーを押しながらドラッグ&ドロップ、MacではCommandキーを押しながらドラッグ&ドロップしてください。

グラフィック(アートワーク)として登録されます。

グラフィック(アートワーク)として登録


すると、CCライブラリに表組が登録されます。

CCライブラリに表組が登録


Illustratorを開いて、IllustratorのCCライブラリパネルから、先程登録した表組をドラッグ&ドロップすると、先程の表組が配置できます。

IllustratorのCCライブラリパネルから、先程登録した表組をドラッグ&ドロップすると、先程の表組が配置できる


表組を再編集する場合は、コントロールパネルの「オリジナルを編集」をクリックします。

コントロールパネルの「オリジナルを編集」


するとInDesignが起動し、編集できる状態になるので、修正・変更を行い、上書き保存を行います。

(今回は「一覧」の文字を追加)

InDesignでの表組の再編集


Illustratorに戻ってみると、先程の修正・変更が反映されています。

変更が反映されたIllustrator


このように、CCライブラリを使用することによって、Illustratorでとても再編集がしやすい表組を使うことができます。

皆さんもぜひお試しください。


うまくCCライブラリに登録できない場合は…

CCライブラリに登録した表をIllustratorに配置すると単なるテキストになってしまう場合、CCライブラリへの登録を誤っている可能性があります。

CCライブラリパネルにテキストフレームをドラッグ&ドロップするときに「テキスト」になっている場合、CtrlキーもしくはCommandキーを押していない可能性があるので、再度確認して登録してください。

CCライブラリパネルで「テキスト」の表示


もしくはテキストフレームを選択してCCライブラリパネルの「+」をクリックして「グラフィック」を選択することでも登録できます。

CCライブラリパネルの「+」をクリックして「グラフィック」


注意点

この方法にはいくつかの注意点があるので、ご注意ください。


注意点①:表組内のリンク画像に注意

表組の中に画像ファイルをリンクで入れることもありますが、画像ファイルを不用意に変更すると、Illustratorで「オリジナルを編集」をクリックしたときに、警告もなく画像ファイルが変更された状態になります。


例えば、今回の表組で使用したIllustratorのアイコンの画像が以下のものです。

加工前のIllustratorアイコン画像


このIllustratorのアイコンをレイヤーで位置を移動させて、保存します。

加工後のIllustratorアイコン画像


Illustratorで表組を選択して「オリジナルを編集」でInDesignの編集画面に切り替わったときには既に画像ファイルの更新がされている状態で開かれます。

画像の位置がずれたように見える表組

表組で使用するリンクファイルは不用意に変更を行わないように気を付けましょう。


注意点②:CCライブラリから削除すると再編集できない

CCライブラリに登録した表組をIllustratorに配置し、CCライブラリから削除してもIllustrator上では特に何も発生しません。

(再度Illustratorファイルを開いたときに「CCライブラリにリンクされた一部アセットが見つかりません。」という警告が表示されます)

CCライブラリにリンクされた一部アセットが見つかりません。


しかし、この状態で表組を選択し、「オリジナルを編集」をクリックすると、InDesignではなく、Acrobat(やプレビュー)などが立ち上がり、PDFが表示されます。

不用意にCCライブラリから登録した表組を削除しないでください。


注意点③:不要な余白が付く

CCライブラリにテキストフレームを「グラフィック」(アートワーク)として登録すると、テキストフレームの周りに不要な余白が追加されます。

不要な余白は以下の画像の赤色の斜線部分です。

テキストフレームの周りに不要な余白が追加

出力への大きな影響はありませんが、Illustratorへ表組を配置するときにサイズが元の表組のサイズと異なるので、位置の調整などが困難になります。

この問題を回避する方法はわかっていません。

追記:グループ化すれば不要な余白は付かない(2018/12/03)

あかつきさんより、この不要な余白が付く問題について、回避策を提示していただきました。ありがとうございました。


実際に試してみましょう。

InDesignで作った表組の範囲内に空のフレームを配置します。前後どちらでも構いませんが、表組の修正のしやすさから面が良いでしょう。

InDesignで表組のある範囲内にフレームを作成


表組と空のフレームをグループ化します。CCライブラリを更新するためにInDesignで保存します。

表組と空のフレームをグループ化


CCライブラリを貼り込まれているIllustratorへ戻ってみると、不要な余白はなくなっており、表組のサイズとピッタリのサイズになっています。

表組のサイズと合っているCCライブラリ


注意点④:パッケージ

Illustratorの「パッケージ」(いわゆる収集)機能を使うと、CCライブラリとのリンクが解除されます。

このため、パッケージしたIllustratorファイルの表組を選択して「オリジナルを編集」をクリックしてもInDesignは起動しません。


補足:CCライブラリのバージョンについて

いわゆるCC 2015以降を利用する理由は以下のページに記載されています。

「リンクされたアセット」がポイントです。

このためIllustrator CC 2014・InDesign CC 2014をお使いの場合は、今回の方法は使用できません。

Illustrator CC 2014 以前では、グラフィックアセットをライブラリパネルから Illustrator のドキュメントにドラッグすると、元のアセットとのリンクが解除されます。このため、ライブラリ内の元のアセットを変更しても、ドキュメントで使用されているコピーには反映されませんでした。ライブラリからドラッグされた Illustrator のアセットは「リンクされていないアセット」でした。

Illustrator CC 2015 以降では、リンクされたアセット機能により、ライブラリからドキュメントにドラッグされたアセットは「リンクされたアセット」になります。これは、初期設定の動作です。ライブラリ内のアセットを変更すると、Illustrator ドキュメントで使用されているすべてのリンクされたコピーにその変更が反映されます。

Illustrator の Creative Cloud ライブラリ(Adobe)