スタイル編集の取り消しが効かない実例
Illustratorで以下のようなドキュメントを作成します。
検証環境はWindows 11で、Illustrator 2023(27.4)です。
上のポイントテキストには「文字スタイル」で「文字スタイル1」が適用されています。
「文字スタイル」パネルのメニューから「文字スタイルオプション」を選択します。
文字スタイルオプションのダイアログが開くので「基本文字形式」の「フォントファミリ」の「源ノ明朝」を「VDL ロゴJr R」に変更して「OK」をクリックします。
フォントが変更されました。
前のフォントの方が良かったと思い、Ctrl+ZまたはCommand+Zで作業の取り消しをしようと思っても、作業の取り消しができません。
メニューの「編集」からも取り消しできません。
「ヒストリー」パネルにもスタイルの編集について記録されていないので前の状態に戻れません。
文字スタイル・段落スタイルともに同じ現象が発生します。
フォントだけでなく、フォントサイズや行送り、文字カラーなどの文字スタイル・段落スタイルで設定できる内容の変更を行っても取り消しができません。
スタイル編集の取り消しができない原因
この問題の原因は「スタイル」の編集がIllustratorでは編集や変更として取り扱っていないためです。
先ほどのドキュメントもタブのファイル名の横を見てみると「*」マークがなく、編集や変更がされていない認識になっています。
対処方法
対処方法はありません。
文字スタイル・段落スタイルの編集をする際は、ドキュメントを保存しておき、元の状態に戻れるようにしておきましょう。
なお、Illustratorからは「変更していない」ことになっているので「復帰」機能も使えません。
補足
この問題はIllustrator 2023だけでなく、Illustrator CC(17.1)でも再現しました。
なお、InDesignではこの問題は発生しません。
参考情報
このページの情報は以下のツイートを参考にしました。
ねー
— かたやなぎ (@kata1963) March 29, 2023
あと,段落スタイルで書体や級数変えてもデータ変更したと認めてくれないイラレちゃん悪い子すぎる
余談:源ノ明朝・源ノ角ゴシックについて
なお、実例で使用している源ノ明朝フォントの「源」は「Source」が元になっているので「源氏」とは無関係です。(源ノ角ゴシックフォントも同様)
なぜ“武将のような”フォント名になったのか。Adobe日本法人に聞いた。
――なぜ「源ノ明朝」という名称なのでしょう?
ネーミングには1年以上の歳月をかけ、日中韓米の4カ国間で検討を重ねた結果、「Source」をキーワードに各国に適した名称が決定されました。英語名は「Source Han Serif」なので、日本名には「Source」を意味する「源」という漢字を使っています。
まるで武将? Adobeのフォント「源ノ明朝」名前の由来は - ITmedia NEWS
関連情報
取り消しができないという点で以下の現象も同様の問題です。
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