概要
このページでは、Illustratorで合成フォントを使用している場合に、保存の設定によってはIllustrator形式に付加されるPDF互換のデータが破損する不具合について紹介しています。
合成フォントについて
IllustratorやInDesignでは文字の種類によってフォントを組み合わせて使える「合成フォント」という機能があります。
和文のフォントはこれで、欧文のフォントはこれで…という感じで、文字にこだわりたいときに便利な機能です。
わかりやすい例では、マンガの吹き出しのフォントはゴシック体と明朝体の組み合わせで作られていることが多いので、以下の合成フォントの設定で、吹き出しのフォントのようなものを作ることができます。
さて、この合成フォントをIllustratorで使ったときに、Illustratorの設定によってはIllustrator形式ファイル(.ai)に含まれるPDF互換のデータが壊れることがあることがIllustratorのUserVoiceに投稿されていたので情報共有します。
UserVoiceの該当ページは以下のページです。
この問題はIllustratorのバックグラウンドで保存・書き出しをする機能において、PDF互換データの保存に不具合がある可能性が指摘されています。
なお、Illustrator 2024(28.0)でも再現しました。
対処方法
どうな状況でこの不具合が発生するのかといった再現方法はUserVoiceのページをご覧頂きたいのですが、印刷データのトラブルを少なくするために対処方法を抜き出して紹介します。
対処方法は環境設定の「ファイル管理」の項目にある「バックグラウンドで保存」「バックグラウンドで書き出し」をチェックをオフにします。
この対処方法で完全に不具合が発生しなくなるというものではありませんが、不具合が再現できるので、多少不便になりますが、「バックグラウンドで保存」「バックグラウンドで書き出し」は使わない方が良いでしょう。
新規インストールや、Illustratorをアップデートする時に、トラブル抑制のために「以前の設定および環境設定を読み込む」のチェックを付けずにアップデートした場合に、デフォルトの設定では「バックグラウンドで保存」「バックグラウンドで書き出し」をチェックがオン(有効)となっているので、注意が必要です。
検証用ファイルのダウンロード
検証ができるようにIllustratorファイルをご用意しました。作成バージョンはIllustrator 2024(28.0)です。
ファイルをダウンロードして、IllustratorやInDesignに配置してみてください。
情報元
IllustratorでバックグラウンドONのまま合成フォントを使うと、aiファイルのPDFデータが空白になる場合がある。かなり深刻な不具合。みんな投票するのだ!
— ものかの (@monokano) August 25, 2023
発生要件を見つけてくれた @luktar さんに感謝。
「合成フォントを使うとaiファイルのPDFデータが空白になる」https://t.co/n7rpUX1hWg
InDesign上に配置されているaiファイルを修正して戻すと、正常に読み込まれない事態に遭遇(真っ白になる)/AI2022(26.5.3)で保存時の問題?保存後、ID側ではレイヤーがひとつしか認識しなくなる/AI2021では問題なし………気になるけれど検証の時間もないので、ひとまずAI2021を使って回避。 pic.twitter.com/PNSCSRQrLS
— LLL_Kobayashi (@luktar) August 24, 2023
追記:Illustrator 2024では解決(2024/05/07)
Illustrator 2024では問題が解消しているようです。
製品版28.1.0.141にて修正対応されています。
合成フォントを使うとaiファイルのPDFデータが空白になる – Adobe Illustrator(合成フォントを使うとaiファイルのPDFデータが空白になる – Adobe Illustrator)
追記時点の最新版のIllustrator 2023(Illustrator 27.9.3)ではこの問題が解消されていないようです。