今回ご紹介するトラブルは、指定されているカラーが「C100M100Y100K100」(総ベタ)になっているといったものです。(C=100%:M=100%:Y=100%:K=100%)
QuarkXPressやIllustratorやPhotoshopなどでカラーを指定する時に、画面上ではK100とC100M100Y100K100は変わりませんが、実際の印刷では大きく結果が異なります。
このC100M100Y100K100のカラーはいわゆる総ベタといわれるもので、プリンタなどではほとんど問題はありませんが、印刷機で印刷する場合、次のような問題が発生する可能性があります。
1【インキのトラッピングの可能性】
先に印刷したインキの上に次のインキを重ねる時、先に印刷したインキの量が多すぎるために、次のインキを乗せる時に前のインキが乾かずにインキの着色が正しく 行われないという問題が起こる可能性があります。
2【裏映りの可能性】
下の画像をまずご覧下さい。
http://www.ddc.co.jp/yoshida/words/images/SM102-02.jpg
これは当社のハイデルベルグ社製両面8色機SM102-8Pですが、印刷の用紙は右側の奥から左側の手前へと進んで行きます。この左側手前の部分に印刷された用紙 が次々と重なっていくのですが、CMYKのインキ合計量が300%~総ベタなどインキの多い部分がある場合、インキが乾かずに、紙が重なる所で印刷物の乾いていないインキが付き、印刷物が汚れてしまう可能性があります。
3【白抜き文字が潰れる可能性】
C100M100Y100K100などの総ベタに近いカラーの上に白抜き文字を配置した場合に網角度や微妙な刷版ズレなどによって白抜き部分にカラーが入ってしまい、文字が読めなくなる可能性があります。特に明朝系の白抜き文字などでは注意が必要です。
これらの問題が起こらないよう、吉田印刷所ではインキの総量を270%程度に抑えていただくようお願いをしております。QuarkXPressやIllustratorやPhotoshopのカラー指定でC100M100Y100K100の400%や400%に近い値のカラーがないよう入稿前のチェックをよろしくお願いいたします。
なお、当社が推奨しておりますリッチブラック(注)はC50M40Y40K100です。
(注)リッチブラックとは、K100(スミ100%)だけではなく、他の色を混ぜて作成した黒色のことです。K100に他の色を重ねた場合(リッチブラック)の印刷サンプルはDTP WORLDの7月号の特別付録「製版・色・出力・プリプレス・印刷に関する用語集」の15ページにございます。