Illustratorで塗りにグラデーションを使用する場合、場合によってはトンジャンプ(*)を起こす場合があります。このトーンジャンプをできる限り発生さ
せないようにするためには以下の方法を試してみるのはどうでしょうか。
・グラデーションの長さを調整する
・EPS保存するときにPostScript3保存をする
・グラデーションを画像化してノイズを加える
(*)急激に色の変化を起こす領域が発生することを言います。
また、グラデーションのカラーの設定によってはグラデーションのカラー自体にエラーが発生する場合がありますので注意をお願いいたします。(後述)
◆グラデーションの長さを調整する
Illustratorでグラデーションを使用する場合、以下の計算をすることで事前にトーンジャンプが発生しやすいかどうかを判断することができます。(Adobeが指定する「グラデーションの最大の長さ」がIllustratorのマニュアルに掲載されています)
(1)グラデーションの長さを測ります。
(2)次の式を使ってステップ数を計算します。
[ステップ数]=256×[カラーの変化率]
カラーの変化率は高いカラー値から低いカラー値を引いて求めます。
※具体的にはC0M100Y80K0のカラーからC0M0Y0K0に変化するグラデーションの場合、最も変化するカラーはM100→M0ですから、カラーの変化率は100%(または
1.0)になります。
(3)次の表を基に「グラデーションの最大の長さ」を算出してください。
┌─────┬────────────────┐
│ステップ数│グラデーションの最大の長さ(mm)│
│ 10 │ 7.6 │
│ 20 │ 15.2 │
│ 30 │ 22.9 │
│ 40 │ 30.5 │
│ 50 │ 38.1 │
│ 100 │ 76.2 │
│ 150 │ 114.3 │
│ 200 │ 152.4 │
│ 250 │ 190.5 │
│ 256 │ 195.1 │
└─────┴────────────────┘
※グラデーションの長さは「グラデーションの最大の長さ」より短くしてください。(参考:Illustratorのマニュアル)
◆EPS保存する際にPostScript3保存してトーンジャンプを軽減する
EPS保存する際にPostScript3保存すると、グラデーションの分解能(グラデーションを何個のオブジェクトとして扱うか)をPostScriptレベル2より大幅に向上させることが可能になり、ある程度トーンジャンプが改善することがあります(万能ではありません)。
IllustratorのグラデーションをPhotoshopで画像化し、ノイズを少しだけ加えると、ある程度トーンジャンプが改善することがあります。
これは印刷時に使用する網点が特定の濃度で急激に接近し、急激にカラーが変化(トーンジャンプ)することを、意図的にノイズを入れ、カラーを散らすことで回避できることがあるからです(万能ではありません)。
●全チャンネル(CMYK)を使う場合
(1)Illustratorで作成したグラデーションをPhotoshopで開きます。
(2)全体を選択し、「フィルタ」→「ノイズ」→「ノイズを加える」を選択します。
(3)「ノイズの量」を設定し、ノイズを僅かに加えます(大げさにわからない程度(2~3程度が良いのではないでしょうか))。
●特定のチャンネル(例:CとMだけ)を使う場合
(1)Illustratorで作成したグラデーションをPhotoshopで開きます。
(2)使用しているカラーのチャンネルをひとつ選びます。
(3)全体を選択し、「フィルタ」→「ノイズ」→「ノイズを加える」を選択します。
(4)「ノイズの量」を設定し、ノイズを僅かに加えます(大げさにわからない程度(2~3程度が良いのではないでしょうか))。
他に使用しているカラーがあれば
(2)に戻って他のカラーのチャンネルを選択し、同様にノイズを加えます。
●ノイズを加えた場合の注意
もし、グラデーションが白(C0M0Y0K0)から始まっている場合は、この方法を行いますと、白(ハイライト)の部分に1%程度ののカラーが入ってしまいます。CTPで再現され、印刷でカラーが出てしまうことがありますので、Photoshopの「色調補正」の「トーンカーブ」などで白(ハイライト)の部分を1~2%程度白く飛ばすようにしてください。
●グラデーションの使用上の注意点について(トーンジャンプについて)
https://www.ddc.co.jp/dtp/archives/20050708/125114.html