AdobeからAcrobat6.0が発売され、新しい機能でPDF/X準拠のPDFが作成できることから、印刷用途向けPDF規格「PDF/X」についての注目が集まるようになりました。
PDF/XとはPortable Document Format eXcahnge (PDF/eXchange)の略で、PDFファイルの相互交換性に関する規格です。このPDF/Xの仕様はISOにより規定されています。
PDF/XはPDFの新しいバージョンではなく、あくまでPDFの規格全体の一部分(サブセット)で、印刷用途に最適化されたPDFの規格です。印刷上問題となるカラー・フォント・トラッピング・ハーフトーンなどの不確定要素をできるだけ排除した内容になっています。
PDF/Xという規格がなかった時には、PDFといってもWEB用のPDF・ebook用のPDF・プリプレス(印刷)用PDFなど様々な種類がひとまとまりに「PDF」という名前で呼ばれていました。印刷用途向けのPDFの標準的な規格がなかったために「PDFにさえなっていれば印刷は問題ない」という誤った認識を持たれる方もいらっしゃいます。
PDF/Xはこのような言葉上の問題を解決すると共に、PDFに変換する作業者自身が印刷用途のPDFに準拠しているかどうかを判断できるように判断材料を明確化したものです。
PDF/Xにはいくつかの種類があり、主なものとして「PDF/X-1a」と「PDF/X-3」が挙げられます。「PDF/X-1a」は従来からの印刷工程の内容を特に重視した規格になっています。
PDF/X-1aではその規格を満たすため、以下のような条件があります。
・PDFのバージョンはPDF1.3より後のバージョンは使用できません
・平網・画像を含めPDFに含まれる全てのカラーモードはCMYK(+特色)に限定
され、カラーマネージメントは使用されません
・PDFに含まれる画像は実画像(出力用の画像)です
・フォントは全てアウトライン化もしくは全て埋め込みされています
・OPIの情報は含まれてはいけません
・トランスファ関数やハーフトーンスクリーン情報は含めることができません
・トラッピング、出力インテントが指定されています
つまりIllustrator9以降で使用できる透明効果・RGB画像・レイアウト用低解像度の画像(アタリ画像)などは使用できません。
このような条件はを満たしたものがPDF/X準拠のPDFと言え、同時に印刷用途として適したPDFであると言えます。
こうしたPDFを作成すること、また制作者で判断することは非常に困難でしたがAcrobat6.0の機能を使用することで、比較的容易に作成することができます。
Adobeより「PDF/Xに準拠した印刷用PDF作成ガイド」(Acrobat6.0が必要です)が公開されておりますので、こちらの設定をお読みの上、PostScript・EPSを変換していただければPDF/X準拠のPDFは簡単に作成できます。
本文中ではAcrobat6.0を使用してIllustrator10とInDesign2.0からPDF/X準拠のPDFを作成する方法も掲載されていますので興味のある方は是非ご一読の上、より出力安定性が高いPDFを作成していただければと思います。
▼Adobeサポートデータベース
PDF/X に準拠した印刷用 PDF 作成ガイド(文書番号:222914)
http://support.adobe.co.jp/faq/faq/qadoc.sv?222914+002