Illustrator入稿のエラーでよくあるエラーを3回に分けて紹介します。今回はその2回目です。
Illustrator固有の問題ではないエラーも含まれていますが、Illustratorで制作する上で注意したい点としてご覧下さい。
エラーといっても意外に単純なエラーが多いものです。エラーに気を付けて安全な出力ができるデータを目指していきましょう。
◆[5]フォントデータのエラー(孤立点・空の文字ボックス)
アウトライン化したはずなのにフォントの情報が残っている状態です。
Illustrator8では直接PDF形式で保存するときに和文フォントを埋め込めないのでアウトライン化してくるお客様が多くいらっしゃいますが、孤立点や空の文字ボックス(もしくはスペースが入った文字ボックス)があってPDFにフォントの情報が残っていつ場合があります。
フォントを埋め込んでいないPDFは出力エラーになりますので、PDF形式で保存する前に必ず「フォントの検索と置換」でフォント情報が残っていないかどうかを確認してください。
●[2007]文字をアウトライン化する方法・アウトライン化されたかどうかを確認する方法
http://www.ddc.co.jp/yoshida/dtp/illustrator/html/2007.html
●[2008]文字をアウトライン化する時のエラーについて
http://www.ddc.co.jp/yoshida/dtp/illustrator/html/2008.html
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◆[6]裁ち落としの位置までデータがない
仕上がり線ぎりぎりまでデータがあるにもかかわらず、外トンボまではデータがない状態です。
この状態の場合、仕上がり断裁時の微妙なズレや紙の伸びなどにより、紙の地色が出たり(いわゆる白が出たり)絵柄が断裁されてしまうことがあります。気を付けてください。
入稿前のチェックとして「出力したプリントアウトで内トンボ同士を線で結んで仕上がり線ギリギリのオブジェクトがないか確認する」「実際に内トンボ同士を結んでカッターで断裁してみて仕上がりを見てみる」ことをすることで、裁ち落としのエラーを未然に防ぐことができるのではないでしょうか。
よくあるパターンとしては元々裁ち落としまで画像データのサイズがなく紙の端に配置したり、デザイン的な文字を紙の端に配置している場合などがあります。
●[9040]【裁ち落とし】たちおとし・【ドブ】・【断ち切り】たちきり
http://www.ddc.co.jp/yoshida/words/html/9040.html
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◆[7]巻き三つ折りで面のそれぞれが均等なサイズになっている
例えばA4サイズを巻き三つ折りにする場合に、折られる面が99/99/99mmの均等なサイズのデータになっている状態です。
紙には厚さがあるため、折り込んだときに折り込まれる側は外側より小さくなくては内側に折り込むことはできません。
当社の推奨は以下の通りです。
★A4サイズの巻き三つ折りの場合 :100/100/97mm
★仕上がりがA4サイズの巻き三つ折りの場合:210/210/207mm
または210/210/208mm
●[9036]折り加工について
[二つ折り・巻き三つ折り・外三つ折り・観音折りなど]
http://www.ddc.co.jp/yoshida/words/html/9036.html
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◆[8]オブジェクトのアウトプット値が低い
オブジェクトのアウトプット値というのは次のものです。
Illustrator8・9 :Illustratorの「属性パレット」の中にある値
Illustrator10・CS:書類設定の出力解像度の値
オブジェクトのアウトプット値が低いとなめらかな曲線がなめらかな曲線とは描かれずに、直線的なスタイルで描かれてしまいます。極端な例では円が多角形のように出力される場合もあります。
特にIllustrator9をIllustrator9.0.2にバージョンアップしないまま使用している場合には無意識のうちに低いアウトプット値を設定されてしまうため、注意が必要です。
●[2014]出力したら曲線が滑らかではなくなった
http://www.ddc.co.jp/yoshida/dtp/illustrator/html/2014.html
●[218851]Illustrator 9.0 (Mac/Win):
属性パレットのアウトプットの値が変更してしまっている
http://support.adobe.co.jp/faq/faq/qadoc.sv?218851+002
[次号に続く]