DTPにおいてフォントは重要な要素のひとつです。
そのフォントは数多く様々なメーカーから出荷されていますが、DTPに携わる方々は一体どこのメーカーを多く使用しているのかということをアンケートしてみたく、皆さんにご投票いただきました。今回も大変多くの方々にご投票いただきました。ありがとうございます。
今回は以下の選択肢から選んでいただきました。さて、結果はどうなったのでしょうか。
・モリサワ ・フォントワークス ・ダイナコムウェア ・ニィス
・リョービ ・大日本スクリーン ・アドビ ・イワタ
・モトヤ ・タイプバンク ・視覚デザイン研究所 ・リコー
・OS付属フォント
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■最もよく使用するフォントのメーカー …投票数:227票
1位…モリサワ …59.9%
2位…アドビ … 9.5%
3位…ダイナコムウェア … 8.2%
4位…大日本スクリーン … 6.5%
5位…Windows付属フォント … 5.2%
■2番目によく使用するフォントのメーカー…投票数:162票
1位…ダイナコムウェア …26.5%
2位…フォントワークス …21.0%
3位…アドビ …17.3%
4位…大日本スクリーン …14.8%
5位…モリサワ …13.0%
結果としては「モリサワ」の圧倒的な使用状況が浮き彫りになりました。DTPに携わっている方々はモリサワのフォントをメインとして使用しているようです。「最もよく使用するフォントのメーカー」「2番目によく使用するフォントのメーカー」の割合から見るとおよそ2/3の方々がモリサワのフォントを使用していることになります。
「最もよく使用するフォントのメーカー」はアドビ・ダイナコムウェア・大日本スクリーン・Windows付属フォントと続きます。
アドビは多くの方がAdobe Creative Suiteに付属しているフォントと考えられます。バージョンによってはOpenTypeフォントのPro書体が付属されており、豊富な文字数や記号の利用が可能なことから、一定の使用がされていると考えられます。Adobe Creative Suiteが発売になってから弊社への入稿データで小塚ゴシック・小塚明朝と思われるフォントを使用した印刷物が増えたので、実際に使用されていることが分かります。
ダイナコムウェアはフォントとしては比較的安価なのでパッケージを購入での利用が考えられます。また、ソフトウェアに付属するフォントなどで「ダイナフォント」の知名度が高いこと、提供されているフォントの数が非常に多いのも使われている理由と考えられます。(OpenTypeフォントでは150書体版、TrueTypeフォント版では600書体版などが発売)
大日本スクリーンのフォントはメーカーからパッケージを購入というパターンも考えられますが、Appleの Mac OS X付属のフォントで選択した方がいると考えられます。Mac OS XのSafariではおなじみのフォントなので、ウェブを頻繁に利用される方にはなじみが深いフォントといえます。今後さらにウェブの利用率が高まってくると、Macユーザーの中にはウェブと印刷物で同じデザインのフォントを使用したいと思い、DTPでの利用率が高まる可能性も考えられます。
5位のWindows付属フォントというのは予想外の結果ですが、弊社印刷サービスの窓口で以前お客様から「筆文字系の書体はどのWindowsにも入っているのでは?」という質問があり、お話を詳しく聞いてみると「年賀状作成ソフトウェアの付属フォント」だったことが何回かあり、ソフトウェアをインストールしたときに同時にインストールされるフォントをWindows付属フォントと勘違いしている可能性もあります。(Windowsは基本的にひとつのフォントフォルダしかないため、一度フォントフォルダにフォントがインストールされてしまうと、システム用のフォントなのか後からインストールされたフォントか分からなくなる。)
「2番目によく使用するフォントのメーカー」では、ダイナコムウェア・フォントワークス・アドビ・大日本スクリーン・モリサワの順になりました。
ダイナコムウェアのフォントは装飾系のフォントが非常に多いのでメインは他のフォントメーカーのものを使用して、ポイントポイントでダイナフォント(ダイナコムウェアのフォント)を利用されている方が多いと考えられます。
フォントワークスの書体もクラシック書体のロダン(角ゴシック系)・マティス(明朝系)・スーラ(丸ゴシック系)などが印刷物に良く使用されていますが、装飾系のフォントもバランス良く豊富にあるように感じます。フォントワークスLETSでは低価格でフォントワークスの170以上の書体を使用できるので、多くの方から使用されているのだと考えられます。
今回のアンケートを採った結果、DTPの現場ではアドビなどのソフトウェア付属フォントと思われるものを除けば、『モリサワ+「ダイナコムウェア・フォントワークス」』のフォントで多くの印刷物が制作されている傾向があることが分かりました。また、OSやソフトウェア付属フォントと思われるフォントも使用されていることがわかりました。
前回のフォントのアンケートの時にも書きましたが、これからの印刷データはPDF形式でのやりとりが増えていくことは確実です。PDF入稿の時代は、制作者が自分で選んだ好きなフォントを使用してデザインや編集ができることになります。
フォントのライセンスの形も、以前から見ればパッケージ販売だけではなく、レンタル方式のモリサワパスポートやフォントワークスLETS・イワタLETSなどが登場して、よりユーザーが様々なフォントを使用しやすい環境になってきたといえます。
入稿先が対応していなかったから使いたいフォントを選択できない、フォントが高価だったから使いたいフォントを使用できない、という制約からデザイナーや編集者が解放され、制作する印刷物に対して、より適したフォントが使用されることになっていき、結果として情報クォリティの高い印刷物が提供できる時代に向かってきているといえるのではないでしょうか。
【アンケート概要】
アンケート期間:2008年11月13日~12月9日
アンケート対象:主として「DTPサポート情報blog」閲覧者
アンケート方法:以下のページのウェブサービスによる回答(無記名回答)
https://www.ddc.co.jp/dtp/archives/20081113/122500.html
アンケートに関してはDTP駆け込み寺のご協力を頂いております。ありがとうございます。
▼ DTP駆け込み寺
●関連ページ
▼ 当社対応フォントについて(Mac)
| https://www.ddc.co.jp/dtp/archives/20050617/193312.html
▼ 当社対応フォントについて(Windows)