DTPサポート情報blogのページにおいて、4月7日から4月30日までの期間で『網点(スクリーン)は何を使用していますか?』というアンケートを行いました。
今回のアンケートは、現在使用している網点はどのタイプのものですかというものをお答え頂きました。
今回の選択肢は以下の4通りとさせて頂きました。
●AM+FMのハイブリッド
●その他
結果は以下の通りです。
■使用している網点(スクリーン) ...投票数:268票
1位 ... AMスクリーン ...49.3%
2位 ... FMスクリーン ...23.1%
3位 ... AM+FMのハイブリッド ...19.4%
4位 ... その他 ... 8.2%
結果としては、以前から多く利用されてきた「AMスクリーン」がおよそ半数の49.3%で1位となりました。続いて「FMスクリーン」がおよそ1/4の23.1%、「AM+FMのハイブリッド」がおよそ1/5の19.4%という結果になりました。
AMスクリーンが1位であることには特に驚きは無いのですが、FMスクリーンを利用されている方がハイブリッドタイプを含めるとAMスクリーンとあまり変わらない数の方々が使用されているということで、かなり多くの方がFMスクリーン系を利用されているのだという点で驚きを感じました。
FMスクリーン系の印刷では点の密度の変化により色を表現するので、微細な部分の表現に特に優位性があります。また、AMスクリーンとは違いモアレの発生しないため、印刷の内容によってはAMスクリーンより優れた印刷結果になるといえるでしょう。
またFMスクリーンではCMYKの4色印刷よりも色数が多い印刷もモアレの発生が起きずに可能になるので、高色彩な印刷物などで利用されています。
FMスクリーンの印刷では、平網部分などの中間調の平坦な部分などでのざらつき感が問題になる場合もありますが、最近のFMスクリーンではその点が改善されたり、選択肢にもあるような「AM+FMのハイブリッド」などの良い点を併せ持つ網点(スクリーン)も登場したりと、より良い印刷結果になる努力が行われているようです。
AMスクリーンの網点が多く支持されている理由として考えられるひとつの理由は、FMスクリーン系の網点(スクリーン)処理は点の密度の変化によって表現を行うため、いわゆるフィルムを出してPS版に焼き付ける刷版作成方式の場合、焼き付ける際の点の大きさが変化する要因があるため、CTP化されていないとその点の品質管理が非常に困難であるということがあるかと思います。CTP化は地方ではかなり進んでいるかと思いますが、東京ではまだフィルムを使用しているところもかなりあるようなので、そういった場合はAMスクリーンを利用されていると考えられます。
また、AMスクリーンのメリットは印刷品質の安定性を高めることがFMスクリーンよりも容易である点が挙げられるのではないでしょうか。生産性の向上も印刷のコストと品質のバランスという点から見ると重要なファクターですので、AMスクリーンを選択するという選択肢もあるかと思います。
FMスクリーンはモアレが発生しないと書きましたが、AMスクリーンも各RIPメーカーによって表現方法の工夫がされており、モアレが以前より出づらい網点形成をするなどの努力が行われているようです。(このため同じ画像データでもモアレが発生するかしないかは安易な判断ができません)
オフセット印刷においてどのようなタイプの網点(スクリーン)を選択するかは、印刷物の内容や印刷物の用途などによって、また、刷版の網点の精密さ・網点の安定性、印刷ではインキの使用量・乾燥スピードの違い・インキ着肉の安定性など、どの点を優先させるかにより網点の選択は異なってくるかと思います。
新しい技術だからとチャレンジすることも大切ですし、実績があるからそれを使うということも大切ですが、お客様(クライアント)へ印刷物を提供するにあたってお客様のニーズからスタートした考え方でどの網点(スクリーン)が適切なのかを選択することが大切なのかもしれませんね。
今回のアンケートにもDTP駆け込み寺の和尚様・読者様にご協力を頂きました。
また、弊社ページをご覧頂き、アンケートにお答え頂いた方々にも御礼申し上げます。ありがとうございました。
【アンケート概要】
アンケート期間:2008年4月7日~2009年4月30日
アンケート対象:主として「DTPサポート情報blog」閲覧者
アンケート方法:以下のページのウェブサービスによる回答(無記名回答)
https://www.ddc.co.jp/dtp/archives/20090407/121500.html
●関連ページ
| https://www.ddc.co.jp/words/archives/20121211135558.html
| https://www.ddc.co.jp/words/archives/20121211142207.html
▼ AMスクリーンとFMスクリーン | 読売ADリポート ojo:adv.yomiuri
| http://adv.yomiuri.co.jp/ojo/02number/200611/11stepup.html
●協力
▼ DTP駆け込み寺