印刷とはちょっと離れますが、アメリカの電子ブック市場が今年は熱い!ということで、アメリカで盛り上がりつつある電子ブックについてまとめてみました。
アメリカのAmazonが販売するKindle(キンドル)という電子ブックリーダーがあることをご存じですか?
2009年に発表されたモデル「Kindle 2」(以下Kindle)は6インチのディスプレイ(解像度は約150dpi)を搭載した薄型の電子ブックリーダーで、電子ペーパーといわれるものをディスプレイに使用することで、ディスプレイ自体が発光しないので、紙のような表示を可能にしています。このため、長時間の読書も目の負担が携帯電話やノートパソコンなどのディスプレイよりは少なく、読書に適していると言われています。
このKindleは通信用のモジュール(3Gネットワーク:簡単に言えば携帯電話の通信機能が内蔵されていると思ってもらえば良いです)が搭載されており、KindleだけでAmazonのサイトを開いて電子ブックを購入することが可能になっているので、電波さえ入ればどこでも電子ブックを購入できる点はデジタルデバイスならではといった感じです。
それも電子ブックのダウンロードや検索などの通信に掛かる料金はなんと「無料」になっており、Amazonの電子ブック販売への力の入れようが見て取れます(Amazonが通信費を負担)。
Amazonから購入できる電子ブックは2009年5月現在230,000冊以上の書籍や雑誌、新聞などがあり、雑誌や新聞などは定期購読する機能もあるそうです。雑誌や新聞などの定期発行物は、発売日に自動的にダウンロードしてくれれば、Amazonのページをいちいち開いてダウンロードするという手間もなくなり、また、ダウンロードし忘れもなくなり非常に便利に使えるのではないかなと思いました。
電子ブック版は印刷版の書籍・雑誌などよりもいくらか安い価格設定をされているものが多いそうで、新聞1カ月分の価格を見てみると、ニューヨークタイムスが$13.99(約1,300円)、ウォールストリートジャーナルが$14.99(約1,400円)、ワシントンポストが$9.99(約950円)となっていて、1000円を切っている価格の新聞もあるなど、かなり安い価格設定になっているなと感じます。
2009年4月現在でKindleの第一世代と第二世代は推定で80万台売れているそうで、アナリストの予想ではKindle経由の電子ブックの売り上げは来年(2010年)には約380~700億円になると予想しています。また、2009年3月にiPhone・iPod touch用のKindleアプリが無料でリリースされ、iPhoneを持っていれば、Amazonが販売しているKindle($399)を購入しなくても同じように通信で電子ブックを購入して読むことができるようになりました。iPhone(3G)は2008年10月の時点で690万台販売されたとのことですから、それらが仮にすべてKindleアプリを動作させることができたら、非常に大きな電子ブックマーケットが現れることになります。もしかするとアナリストの予想を大きく超える電子ブックの売り上げがあるかもしれません。
また、報道ではGoogleもこの分野に関心を持っているようであり、2009年末までには自社のサイトで電子ブックの販売を開始する、ということも報じられています。読むための端末はGoogle携帯(先日ドコモからも発表されたHT-03Aなど)などを利用するのか、自分たちでデバイスを開発して販売するのか…また、Googleが他のサービスとどのように電子ブック販売を絡めてくるのか…などなど、今年の電子ブック市場の動きからは目が離せなさそうです。
▼ アマゾン、電子ブックリーダー Kindle 2を発表、キングの独占新作も登場
▼ AmazonのKindle 2はこれまでに30万台売れました
▼ Amazonは2010年にはKindleによって$750M(7億5千万ドル)の売り上げが
| あるかもしれない(これはかなりの数のKindleだ!!)
▼ 米AmazonのKindle用新聞販売ページ
▼ AmazonのKindle for iPhoneはキラーアプリになる?
▼ iPhone 3Gの販売数は約690万台――米アップル四半期決算
▼ Kindle対抗:GoogleがAmazonに挑戦状――電子書籍市場に参入へ
| http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0906/02/news050.html
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