書籍『非常識が未来を創る - パンドラの箱の真実』より(2)

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書籍『非常識が未来を創る - パンドラの箱の真実』については以下のページをご覧下さい。

http://bit.ly/zsIiAO


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この原稿は2011年6月28日に開催された「AGFAフェア2011東京」での株式会社吉田印刷所(新潟県五泉市)代表取締役社長吉田和久の講演の文字起こしを行い、内容を修正したものです。話の流れを分かりやすくするために順序の入れ替えや言い換えなどを行っていることを予めご了承ください。

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(前回からの続き。前回→ http://bit.ly/A7EVXZ


元に仕事がないなら、全国から集める仕組みを作る

当社の印刷受注のネット対応も早いですが、それよりもなによりもCTPを採用したのが1995年です。

この当時は大手印刷会社CTPは未稼働という状況でした。ましてやカラー印刷CTPを出力して印刷するという会社は、まだなかったように私は記憶しております。業界が「まだまだCTPは使い物にならない」と話している状況の中で、大手出版社のカラーのイラスト集で初めてCTPを採用していただき、大変高い評価をいただきました。

その後2001年にネット対応の印刷受注を開始し、今日では印刷通販と言われていますが、たぶんこの当時は私どもが先駆けだったのかもしれません。

なぜこのような仕組みを考えたかと言いますと、1999年に導入した8色機が、これまでで最高の設備投資でしたし、この当時、当社レベルの会社が8色機を導入して「どうやって仕事を集めるのか、どれほどボリュームのある仕事を処理するのか」と言われたことを記憶しています。

私は最初から8色機を導入して大ロットの仕事をやろうなんて毛頭思っておりませんでしたし、大ロットとは逆の小ロットの仕事を新規需要として開拓したいと思っていました。当社は新潟の五泉市という所に会社がございますが、その当時の人口は4万人以下だったと思います。そんなところにこの設備を賄う仕事があるわけがありません。

ならば、これまで業界にとって未知の領域のWEBを使った新しい仕組みで、全国から仕事を集めよう。そうでなければ当社は生き残っていけないし、この設備を回すこともできない。この思いが人より先駆けた行動となった。おかげさまで当時は想定以上の利益を出させてもらいました。


今日、印刷受注のネット化が印刷業界に新たなトレンドとして押し寄せ、大変な状況をもたらしていることは十分理解しています。

しかし潜在的な需要があったことは間違いありません。ビジネスは潜在需要を顕在化することだと考えています。その当時よく言われました。「吉田印刷所はダンピングをしている」と。しかしこれはダンピングではありません。利益が出ているのですから。プロセスカットをしていますから当然出るはずです。当時CTPを導入された会社でも、見積もりの中に版下や製版フィルムの項目を平気で入れる会社もありました。これではお客様を騙していることになります。

私どもはそうではなく、真摯に「こういう状況になりましたから、見積もりのこの部分は省くことができます」と公表しました。営業が伺って仕事をいただく仕組みではありませんから、条件を設定し、価格の中で当社のメリットを理解していただく以外に方法がありませんので、それをやっただけなのです。

だから、皆さんが思っている価格帯でないのは当然なのです。それをダンピングと言われましたので、そうでないと実証するためには利益を生むことでしか証明できない。ならば利益を上げるためにはどうすれば良いか。

当社が目指す仕事が、この域に無いのであれば、ある所から広く浅く集めよう、そういう経緯で動いたのは先程お話したとおりです。



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