複数回に分けて弊社が発行している書籍『非常識が企業を進化させる - 全体最適は社会も変える -』の内容をメールマガジンでお届けしております。
経営者・営業担当向けの内容になっております。
書籍『非常識が企業を進化させる - 全体最適は社会も変える -』については以下のページをご覧下さい。
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2011年10月13日にハイデル・フォーラム21プリネクト研究会主催により、新潟県五泉市に本社を構える株式会社吉田印刷所にて「未来環境型IT工場見学会」が開催されました。
この原稿は、当日行われた吉田和久(吉田印刷所代表取締役社長)と本田雄也氏(ハイデルベルグ・ジャパンプロダクションマネジメント部部長)によるパネルディスカッションを文章化したものです。話の流れを分かりやすくするため、順序の入れ替えや言い換えなどの修正を行っていることを予めご了承ください。
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(前回の話を読みたい場合はこちらから→ http://bit.ly/MJMLhy )
●あたりまえの到達点は徹底したメンテナンス
◆本田 ──────────
ここまで自動化や多能工、エコロジー、エコノミーといったお話をしていただきましたが、基盤として絶対欠かせない、メンテナンスについてですね。メンテナンスはエコロジーというキーワードにも関わりが深く、今回のテーマの肝になるところだと思いますのでお話いただけますでしょうか。
◆吉田 ──────────
当社が今日商品化し、お客様にご提案申し上げております「小口分割印刷」「フレッシュプリント」「ライトプリント」「スーパーライトプリント」など様々な印刷提案の基礎になりますのが、日々のメンテナンスです。もっと端的に言わせてもらえれば、機械が新台の状態をいつまでも保っていられるかが最も重要なポイントだと思っています。
本日ご覧いただきますハイデルベルグのSM102、8色機は13年目の機械ですが、この機械で厚さ0.04ミリメートルの印刷物を刷っています。一番最初は4500回転くらいしか上がらない状況でした。今日ご覧いただく際には、恐らく9000回転近くまで上がっているかと思います。(2011年11月現在1万回転)
機械のメンテナンスをしっかりやることによって、極限まで湿し水を絞ることが可能ですので、今まで枚葉印刷が嫌がっていた薄紙の印刷も可能になりますし、特殊な紙の印刷も出来ます。特殊な紙と言えば、当社ではユポなどもあたりまえに刷れる状況になっています。
◆本田 ──────────
湿し水を絞るには、メンテナンスなどで御社ならではの特別なことをされているのでしょうか。
◆吉田 ──────────
いえ、特別なことなど一切行っていません。オフセット印刷の原理原則に基づいた、水と油の反発を利用した印刷方式で、その機能が最大限に発揮できる機械の仕立てに常に気を配っているということです。
◆本田 ──────────
原理原則というと、社長はよく「あたりまえ」という言葉をお使いになりますね。このディスカッションの間にもたくさん出てきましたが、私も社長とお話ししていて、吉田社長は本当にあたりまえのことをおっしゃっているな、と思うのです。
こんな言い方をするとなんですけれど、特別な情報を聴けるということではなくて、社長とお話すると、いつも基本に返らせていただけるのですね。原理原則にもう一度立ち戻らせていただける。そこが私たちにとって非常に勉強になっているところです。
工場も後程見ていただいたら分かると思うのですけれども、機械が本当に綺麗です。この新工場だから綺麗なのではなくて、以前の工場でも非常に綺麗でピカピカでした。何を触ってもほとんど汚れない。ブロッキング防止パウダーが少ないからですね。だから先程おっしゃっていたCTPも印刷機の近くに置いてある。
これも目から鱗でした。
階が違ったり、社屋が違ったり、印刷機から離れた場所にCTPを置くことがあたりまえだと思っていたのですが、こちらの工場を拝見して、「確かに、わざわざ離れた場所から刷版を運んでくるより理に適っている。何故、今まであれがあたりまえだったのだろう」と、逆に疑問に思うくらいです。
実は、印刷機の近くにある方があたりまえなのではないか、ということにも気付かせていただきました。
吉田印刷所様の徹底したメンテナンスで、具体的にどこをどうされているのかという詳細については、工場見学もしくは懇親会でご質問いただければと思います。
ここまで吉田社長からお話を伺いましたが、お話のポイントは、このディスカッションの中で何か新しい閃きを得られるのでは? というところではなくて、「原点に戻ってもう一度考える」というところだったのかなと思います。社長は本当に理解しやすい言葉で、あたりまえのお話をしてくださいます。私もですが、聴いてる方も分かりやすかったのではないでしょうか。
これからの印刷業界では、吉田社長がお話してくださった「あたりまえの思考」や「徹底したメンテナンス」が基盤としてあるということが、非常に重要だと思います。
その上で、「IT」を手法・手段の一つとして活用していく。
これは恐らく規模や、扱っている商材、業種、業界を問わず、物づくりの本質的な課題だと考えています。今日はこのディスカッションでの気付きを基に、後程の工場見学で裏付けとなる技術的部分をご覧いただき、懇親会でもぜひ詳しいお話をしていただければと思います。
エネルギーというと電力を発想しがちですが、人のエネルギーもそうですね。省力化もしくは本来かけなければならないところにエネルギーを持っていくこと。これによりもたらされるエコロジー。その結果、あたりまえのようにエコノミーという経済的要素も付いてくる。
「3つのE」のバランスを良く取りながら、4つ目のE「エボリューション」、進化することを常にお考えになっている。こういった考えが100年近くの歴史の中で脈々と受け継がれて、しっかり社員の方にも浸透している。非常に参考になるところだと思います。
(次回に続く)
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