関係者各位
2011年02月02日
株式会社 吉田印刷所
「よく使用されるDTP・デザイン用ソフトウェアのバージョン」アンケート結果を公開
メインの制作環境は新しいバージョンへの移行が進んでいないことが判明
DTP・印刷関係者向けのDTPサイト「DTPサポート情報ブログ」を運営する株式会社吉田印刷所(新潟県五泉市)は、主に弊社サイトの閲覧者を対象に行った「よく使用されるDTP・デザイン用ソフトウェアのバージョン」のネットでのアンケートの結果を公開しました。昨年に引き続きAdobe Creative Suite3(CS3)が多く利用されており、新しいバージョン(CS5)への移行が進んでいないことがわかりました。
2年連続Adobe Creative Suite 3が最もよく利用されるバージョンに
回答の結果は以下の通りとなりました。(5位より下は省略/右側の丸括弧内は2009年12月に行ったアンケートとの比較です)
Illustrator:回答数 482
- [1位]35.5% Illustrator CS3(- 3.1ポイント)
- [2位]24.3% Illustrator CS4(+ 4.0ポイント)
- [3位]13.1% Illustrator CS5(+13.1ポイント)
- [4位]12.4% Illustrator CS2(- 2.9ポイント)
- [5位] 5.0% Illustrator 8 (- 4.2ポイント)
2009年末の調査と合わせて見ると、1位、2位が変わらずIllustrator CS3とIllustrator CS4という結果が出たことは面白い現象です。現在の最新バージョンはIllustrator CS5ですが、新しいバージョンが発売されてもバージョンアップを行わないユーザーが多いと言うことを如実に表しています。
Illustrator 10が前回4位(9.6%)で今回は7位(2.5%)と大幅に下落したにもかかわらず、それよりも前のバージョンIllustrator 8が依然5位にランクインしていることが印刷業界の特殊な事情を表しているといえます。2011年はMac OS Xの正式リリースから10年目の節目の年ですが、印刷業界では依然Mac OS 9などのクラシックOSがインストールされたMacを利用し制作活動を行っていることを伺わせます。Illustrator 10のユーザーが減少したのはIllustrator 10からのバージョンアップは既にできないので、新しいバージョンを新規で購入したと考えられます。
ただ、Mac OS Xでしか使用できないバージョン(Illustrator CS以降)の割合に目を向けてみると2009年末の調査では78.5%だったところが、今回の2010年末の調査では88.2%とおよそ10ポイントアップしており、Mac OS 9などのクラシックOSでIllustratorを使用している方は10%程度ということがいえ、制作を行っている方のほとんどがMac OS X環境へ移行したといっても問題ないレベルに近づいたといえるでしょう。
Photoshop:回答数 433
- [1位]32.6% Photoshop CS3 (- 9.1ポイント)
- [2位]25.2% Photoshop CS4 (+ 5.3ポイント)
- [3位]15.9% Photoshop CS5 (+15.9ポイント)
- [4位]11.3% Photoshop CS2 (- 4.0ポイント)
- [5位] 4.2% Photoshop 5/5.5(+ 1.0ポイント)
今回の調査ではPhotoshopはIllustratorとほぼ同じような結果になりました。同じ世代のバージョンが同じ様な割合でランクインしています。
Photoshopは異なるバージョン間のファイルの互換性がIllustratorやInDesignほど厳しくはないので、バージョンアップをしやすい感がありますが、新しいバージョンの割合がIllustratorと比べて大きくはないので、制作を行っている方は、新しいバージョンのPhotoshopを積極的に利用するわけではなく、Illustratorなどと同じバージョンで統一して作業を行っていることが考えられます。
またPhotoshopでもMac OS Xでしか使用できないバージョンの割合を見てみると2009年末が83.9%、2010年末が87.5%とわずかですが伸びていてIllustrator同様にクラシックOS環境の方は10%程度になったことを伺わせます。
InDesign:回答数 399
- [1位]34.3% InDesign CS3(-15.7ポイント)
- [2位]24.3% InDesign CS4(+ 5.9ポイント)
- [3位]13.5% 使っていない
- [4位]12.3% InDesign CS5(+12.3ポイント)
- [5位]12.3% InDesign CS2(- 7.4ポイント)
今回から「使っていない」という項目をすべてのソフトウェアの項目に入れたので、3位にInDesignを使っていないという回答がランクインしました。
前回の調査では2位はInDesign CS2でしたが今回の2位はInDesign CS4となりました。InDesign CS2は5位に順位が落ちていますが、前回の調査でもInDesign CS2が19.7%で、InDesign CS4が18.4%の僅差だったので、CS2のシェアが下がったことで自動的に2位になったものといえます。
「使っていない」というユーザーを除けば、1~3位までの順位はIllustrator・Photoshopと同じく、CS3・CS4・CS5の順になっており、同じバージョンで統一して作業を行っていることが考えられます。
「使っていない」の回答数に関しては、複数ページの制作でもIllustratorだけを利用して制作する方々もまだまだ多いのではないかと考え、もう少し高い割合になるのかと予想していましたが、結果として何かしらのバージョンのInDesignを利用しているユーザーが約85%というのは意外でした。
Acrobat:回答数 393
- [1位]52.2% Acrobat 9 (+14.4ポイント)
- [2位]28.5% Acrobat 8 (-11.1ポイント)
- [3位] 7.6% Acrobat 7 (- 4.3ポイント)
- [4位] 5.9% 使っていない
- [5位] 3.1% Acrobat 6 (- 2.1ポイント)
Acrobat 9への移行が強まっている結果となりました。前回の調査では1位がAcrobat 8(39.6%)、2位がAcrobat 9(38.2%)と僅差だったものが順調に新しいバージョンへ移行しAcrobat 9が1位になったと考えられます。
Acrobatに関してはバージョンが新しくなることによる互換性の問題点はほとんど起きないため移行しても問題ないからと考えられます。
QuarkXPress:回答数 364
- [1位]62.9% 使っていない
- [2位]14.8% QuarkXPress 4.1(-19.9ポイント)
- [3位]10.4% QuarkXPress 3.3(-23.9ポイント)
- [4位] 5.5% QuarkXPress 8 (- 6.8ポイント)
- [5位] 4.9% QuarkXPress 6.5(- 7.8ポイント)
回答者の半数以上がQuarkXPressを使用していないという結果が出ました。
現在かなり多くのDTP・デザイン関係のユーザーがQuarkXPressとAdobeのソフトウェアを併用して制作することから、Adobeのソフトウェアだけを使用して制作を行うことに変化していることがわかる結果となりました。
順位としては1位、2位は前回の調査と同じになり、ユーザーはバージョンアップなどをほとんど行っていないことが伺えます。
QuarkXPressユーザーはクラシックOSからMac OS Xへの移行をほとんど行っていないことが伺える結果となりました。
最新バージョンのAdobe Creative Suite 5の利用状況
いわゆるCreative Suite 5に入っているソフトウェアは以下の様な順位になりました。
- Illustrator CS5:3位
- Photoshop CS5:3位
- InDesign CS5:4位
- Acrobat 9:1位
この結果から、メインの作業環境としてCreative Suite 3・Creative Suite 4の環境が大勢を占めており、Creative Suite 5への移行が順調に進んでいないことが伺えます。
印刷用データ入稿のためのPDF対応について
印刷通販「トクプレ.」(運営:吉田印刷所)ではPDF入稿を積極的に推進していますので、前回同様にPDFに対応したバージョンの傾向を見てみます。
PDF/X-1aに対応したIllustratorのバージョンはIllustrator CS2~CS5となります。このバージョンが占める割合は85.3%になります。ほとんどの方がPDF/X-1aを作成できる環境ができたといっても過言ではないでしょう。
PDF/X-4に対応したIllustratorのバージョンはIllustrator CS3~CS5となります。このバージョンが占める割合は72.9%になり、前回の調査の半数程度から大きく伸びました。受け手側の状況改善にもよりますが、PDF/X-4の運用を行う下地は固まったと見て良いでしょう。
PDF/X-1aに対応したInDesignのバージョンはInDesign CS~CS5となります。このバージョンが占める割合は98.0%になります(InDesignを使用していないユーザーを除いています)。InDesignユーザーのほとんどはPDF/X-1aを書き出せるバージョンを利用していると言っても問題はないでしょう。
PDF/X-4に対応したInDesignのバージョンはInDesign CS3~CS5となります。このバージョンが占める割合は82.0%になり、こちらも非常に高い割合になりました(InDesignを使用していないユーザーを除いています)。
PDF/X-1a・PDF/X-4ともに制作環境での準備ができあがっています。受け手側の積極的なPDF対応を求めて良い時期に入ったといえるのではないでしょうか。
総括
前回の調査と同じくAdobe Creative Suite 3・Creative Suite 4のバージョンをメインの制作環境として使っているユーザーが多くいるという結果には、印刷業界が決して好景気ではないので、新しいバージョンへの投資が鈍くなってしまっているところに原因があると考えられます。
また、およそ1年半のバージョンアップのスパンはソフトウェアがワークフローに馴染んできたり、様々な制作TIPSやトラブルなどの共有ができてきたタイミングとなったりするため、新しいバージョンを購入してあったとしてもメインの制作環境を変えづらいといった事情もあるのではないでしょうか。
【アンケート概要】
- アンケート期間:2010年11月2日~2010年12月31日
- アンケート対象:主として「DTPサポート情報ブログ」閲覧者
- アンケート方法:以下のページのウェブサービスによる回答(無記名回答)
- https://www.ddc.co.jp/dtp/archives/20101102/120000.html
【吉田印刷所について】
株式会社吉田印刷所では印刷通販「トクプレ.」を通して皆様の販売・告知活動をサポートしております。PDF形式の印刷データ入稿でのハイパフォーマンスのネット印刷を開始して10年が経過し、進化を続けています。印刷やDTP関係の情報発信も積極的に行っており、DTPブログの閲覧回数は550万回を超え、幅広いユーザーに支持されています。
[この件に関する問い合わせ先]
- 株式会社 吉田印刷所(代表取締役社長:吉田 和久)
- 担当者:CSS部 笹川( info@ddc.co.jp )
- 〒959-1852 新潟県五泉市今泉902-1 TEL.0250-43-6144 FAX.0250-43-2918
関連 URL:
- 印刷通販「トクプレ.」 : https://www.ddc.co.jp/tokupre/
- DTPサポート情報ブログ : https://www.ddc.co.jp/dtp/