紙のおはなし〜紙の種類と大きさについて〜
吉田印刷所一番人気はコート紙
当社では様々な用紙に対応しておりますが、お客様から指定される中ではコート紙が一番多くなっています。これは表面がツルツルしており、一般的なチラシやポスターによく使用されている用紙です。詳しい特徴などは右コーナーに説明がありますが、発色がよくインクの乾きも比較的早いため様々な用途に幅広く対応でき、商業印刷では非常に多く使用されているものです。当社でも昨年一年間の印刷物を見ると、コート紙が全体の約70%を占める結果となっています。
用途に合わせた紙を
確かにコート紙は使い勝手のよい用紙ですが、その分他の印刷物との差別化がしにくい用紙でもあります。また用途によっては向いてない印刷物もあります。書き込みが必要な印刷物は上質紙の方が向いている場合がありますし、発表会のプログラム等では光がうつりこみにくいマット紙の方が見やすかったりします。屋外のポスターでは水濡れに強く丈夫なユポ紙をお勧めしております。同じデザインでも紙の色や質感によってイメージが変わったり色の発色そのものも変わります。
当社ではお客様の用途に合わせた用紙のご相談を常に承っております。近年では高い技術力を活かした薄紙のフルカラー印刷の提案も行っており、せっかく印刷をするのであれば、より用途に合わせた用紙選びをしてみてはいかがでしょうか。
代表的な紙の種類と特徴について
印刷用紙の種類は大きく分けて非塗工紙と塗工紙があります。
非塗工紙は用紙の表面に何の加工もしていない印刷用紙です。紙の繊維がそのままむき出しになっているため表面に凹凸が残り、少しザラついた感じになっています。非塗工紙の代表的なものとして上質紙があります。
上質紙は原料に化学パルプを100%使用して抄造された用紙です。パルプの製法には2種類あり、上述の化学パルプは木材に化学反応を使って作ったもので、繊維が細かく強度が高いという特長があり、もうひとつの機械パルプは、木材を機械でつぶして作ったもので、化学パルプに比べて繊維が粗く強度が弱くなります。この両者のパルプの使用率の増減によって中質紙、下質紙(更紙)などに分類され、中質紙は化学パルプ70% 以上で更紙はそれ未満とされています。
非塗工紙に対して塗工紙の方は、ベースになる紙の表面に顔料と接着剤をもとにした塗工剤を塗布した用紙です。このときの塗工剤の塗布量は、上質・中質紙の場合、両面1㎡あたり約20 〜40g 程度塗布されています。
塗工剤の代表的なものとしてコート系やマット系があり、それぞれグロスコート紙(あるいは単純にコート紙)、マットコート紙(あるいは単純にマット紙)といいます。
コート紙はグロス系の塗工剤が塗布されていて、表面に光沢があり、滑らかな仕上りになっています。
そしてマット紙はマット系の塗工剤が塗布されていて、表面に光沢はなく、つや消し効果がある仕上りになっています。コート紙と比較して用紙の光沢が抑えられているため、より上品な印象があります。
用紙と大きさについてのおはなし
皆さんは普段目にされる印刷物(例えばA4 サイズのチラシ)がどんな大きさの紙を使って印刷されているかご存知ですか?
「え? A4 サイズなんだからA4 の大きさの用紙で印刷するんじゃないの?コピー機みたいに…」
いいえ、実はそうではないんです。
右の写真は、印刷機本体の給紙部分の様子を撮影したものですが、小さな子どもの背丈程ある紙が積まれているのが見えます。
印刷物は実際の仕上りサイズよりも大きな紙に絵柄を多面付けして印刷されます。大量複製が必要な商業印刷では、コピー機のように一枚一枚印刷するのではなく、より無駄なく効率的に生産できるように、印刷物の最終形態の違いによって選択する印刷用紙のサイズを変えているのです。
印刷用紙のサイズには非常にさまざまな種類がありますが、一般的には印刷物の仕上りサイズがA4やA5 なら「A 列本判」の紙を、B4 やB5 なら「B列本判」の紙が適していると言われます。
右の表は、印刷用紙の規格寸法の一例です。四六(しろく)判はB 列本判より、菊判はA 列本判よりひとまわり大きいサイズとなっています。そのため四六判はB 列本判の、菊判はA 列本判の代わりに選択されることが多いようです。
印刷用紙の豆知識
四六判
江戸時代からある「美濃判」※(1尺3寸×9寸)の8倍の寸法です。
明治中頃までは、「大八つ判」と呼ばれていたのですが、出版物での四六判(4 寸×6寸= 127 × 188mm)を作りやすい原紙であることから「四六判」と呼ぶようになりました。
菊判
明治はじめ頃、新聞用に従来輸入していた紙が、記事の量の増加と共に使いにくくなったため、新たに作られたサイズです。当時アメリカから輸入されていた24 × 36 インチの寸法を縦横1インチずつ伸ばして25 × 37 インチとなったそうです。キク判という名称は、輸入元の商標がキクの花に似ていた(ダリヤの花)ことから由来するとも、新聞用に使うということで新聞の「聞」(訓読みでは「き(く)」)をとって菊判と名付けられたとも云われています。ちなみに現在の一般的な新聞は546 × 813mm、四六判の半分より少し大きいサイズです。
※美濃判(みのばん)
江戸時代に武家社会からの要望により生まれた和紙のサイズで、当時一般庶民に使用されていた半紙との差別化を図る目的から、半紙より一回り大きいサイズのものが用いられるようになった。初期のサイズは各藩バラバラであったものを、尾張藩が美濃地方で作らせたものを全国の統一サイズと改めたことにより、美濃で作られたサイズということから「美濃判」という呼称が生まれた。
紙の寸法と折の関係
紙の長辺を半分に折っていくと判数が増えます。何回折っても同じ比率になる矩形(くけい)です。
判型(仕上げ寸法)
印刷物の仕上げ寸法は一般に判型といいます。日本工業規格(JIS)には、昭和初期にドイツの規格をもとに作ったA 系列判とA 判の1.5 倍面積のB 系列判があります。カタログ=A4 など、慣例的に言えば多くの印刷物のサイズは変形判も含め、ほぼ決まっています。それは使用する印刷用紙の寸法が決まっていて、そこから効率良く印刷物を作るためでもあります。
下記は印刷物を制作する際などに手元にあると意外と便利な判型早見表です。プリントしてご活用ください。
編集後記
今回から印刷で使う紙について取り上げていきます。紙と言いましても種類が非常に多いですし、当社で扱っていないものも含めますと非常に膨大な内容になってしまいますので、できるだけ実務に沿った主要なものだけを取り上げるようにしました。次回も引き続き紙に関しての話題を取り上げていきますのでよろしくお願いします。
「YOSHIDA TELLING」とは
吉田印刷所の印刷のことをはじめ、社会やお客様に対してどんな取り組みを行っているかをもっと知ってもらいたい、その想いから、吉田印刷所ニュースレター「YOSHIDA TELLING」を制作しています。
TELLINGは「伝える」という意味です。
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