解説
金赤(キンアカ)とは、数ある慣用色名の中の一つで、端的に言えば「赤」のことです。
江戸切子というガラス工芸で赤の色を発色させるために金を使用したところから金赤といわれるようになったそうです。
チラシの価格やタイトル等、特に目立たせる場所によく使われ、主にマゼンタ100%+イエロー100%で表現されます。
印刷会社などにより金赤の定義が異なる場合があります(マゼンタ・イエローの100%ではない場合もあります)ので、金赤の指示を出す場合は注意が必要です。
また、選挙ポスターなどの選挙関連印刷物で筆で書いたような部分の色を「金赤で」とお客様から指定された場合は注意が必要です。
「金赤」と指定した部分のイメージが朱色に近い色(=朱液・朱墨の色)をイメージしている場合があるため、お客様と十分に打ち合わせをすることをお薦めします。
他にも、長期間屋外に貼るポスターであれば、金赤などカラー(特にマゼンタ(M))は退色性が他のカラーより強い場合があり、金赤の部分が段々薄くなってくる(=紙色に近くなる)ので、退色を少しでも遅らせるに耐光インキの使用をお薦めします。
※耐光インキを使用したからといって退色しないわけではありません。また耐光インキはインキ成分が異なるため、通常のプロセスカラーインキとは色が異なる場合があるので注意が必要です。
金赤にも様々な色のイメージがある
金赤にも様々な色のイメージがあるということついては「DTPWORLD」2007年9月号No.111(ワークスコーポレーション)の特集「生きる赤、活かす赤」の古平正義さんと高井薫さんとの対談「敵は「赤」なり!!」の中で以下のように述べられています。
高井「私も、赤はインクの固まりみたいに見えるくらいのものが好きかな。用紙の色の赤で好きなものはたくさんあるけど、印刷で出る赤はちょっと弱く感じてしまう。とくに私は4色刷りで仕事をすることが多いから、理想の赤を出すのがすごく難しいんです。だから製版でしっかり気を配りますね」
古平「そう! 金赤なのに、思った色に刷り上がってこないことが多いんですよ。イメージが固定された色だからこそ、ちょっとでもそこから外れるとすごく気になってしまう。本当の赤はなかなか出せないっていう状況があるから、余計に敬遠しちゃうのかもしれません」
講談社の『色名がわかる辞典』によれば金赤は「黄色みがかった」赤という解説がされています。
JISの色彩規格では「あざやかな黄赤」としている。一般に、新しい血の色をさす赤よりも、わずかに黄色みがかった色。朱色や黄赤よりは赤みが強い。専門的にいうと、印刷に使う色の指定でマゼンタ(M)とイエロー(Y)を100%ずつかけあわせた色。マゼンタを少し下げて90%から99%の間にすることもある。朱色や黄赤はマゼンタをさらに下げる。
金赤(きんあか)とは『色名がわかる辞典』(講談社)(コトバンク)
三省堂の『大辞林 第三版』でも、金赤は黄みがかった赤であると解説されています。
やや黄みがかったあざやかな赤色。
金赤(きんあか)とは『大辞林 第三版』(三省堂)(コトバンク)
似た言葉
・金赤(キンアカ)
金をガラスに溶かし、赤~ピンクの色を発色させるガラス。被せに利用。
・銅赤(ドウアカ)
銅をガラスに溶かし、深い赤の色を発色させるガラス。被せに利用。