解説
紙目とは紙を構成している繊維の向きを意味しています。
パルプから取り出された繊維が印刷用紙を製造中で機械を流れていく時(抄紙工程)に繊維が流れの抵抗を抑えるために機械の流れの方向に揃います。この繊維の流れを紙目と呼びます。
縦目・横目について
この紙目は繊維の並ぶ方向に関して縦目・横目というものがあり、全紙の長辺に平行な繊維の並びの紙は縦目、全紙の長辺に垂直な繊維の並びの紙は横目と言います。
縦目・横目はできあがったロール状の用紙から断裁の仕方によって発生するものです。
ユポは合成紙ですが、製造工程のしくみ上、紙目と同様の特性を持って製造されます。縦目・横目という呼び方以外にも、それぞれショートグレイン・ロンググレインと呼ばれます。また基本的にはショートグレインが一般的で、ロンググレインは一部の銘柄しか用意されていません。
寸法の表記について
よって、縦目・ショートグレインの菊全判の用紙は「636×939mm」、横目・ロンググレインの菊全判の用紙は「939×636mm」と表記します。
ただ、紛らわしいので用紙の手配を依頼する際には縦目か横目かを明記する方が間違いを防げるでしょう。
紙目と印刷・製本について
紙目を縦目・横目どちらかにするかによって印刷や製本に影響を与えます。
紙目に対して平行に印刷機に通したり、折ったりすることはしやすいですが、紙目に対して直角に印刷機に通したり、折ったりすることはしづらくなります。
紙目に対して折る方向が一致している場合を順目、逆の場合を逆目と呼びます。
紙目に対して垂直に折り加工をする場合、繊維が折り加工に反発し、折り目の表面が裂けてしまう背割れや折った際のシワが発生しやすくなります。
ただし平行な目を使えば背割れやシワが絶対起きないわけではありません。
背割れは紙の厚さが厚い場合により発生しやすくなるため、紙が厚い場合は、筋押し(スジ押し)などを行い、紙を折りやすくしてから折ると背割れの状態が軽減されます。※このほか、PP加工などの表面加工を行うことで、背割れを軽減する方法もあります
書籍などでは背に対して平行な目、つまり上下方向(天地方向)に目(繊維)が向いている用紙を使用します。
これは折り加工でより加工しやすくなるということもありますが、紙目が上下方向になっていると、書籍のページをめくる際にめくりやすくなるためでもあります。
関連情報・参考資料
- 王子製紙株式会社|環境への取り組み > 紙をつくるフロー Internet Archive
- 紙の目|紙の特性(Designer's Paper Forum) Internet Archive
- 見当精度不良(ユポ・コーポレーション) Internet Archive