解説
パウダーとは、印刷機のデリバリー部分(印刷された紙が積み重なっていくところ)で用紙間に散布される微細な粉のことを指します。
パウダーは、トウモロコシ・ジャガイモ・小麦粉などの澱粉(でんぷん)を主原料として作られています。パウダーの大きさは15~50ミクロンと様々なサイズがあり、印刷条件や資材などによって適切なパウダーが使用されます。
なぜパウダーを使用するのか?
印刷機のデリバリー部分には印刷が終わった用紙が次々に積み重なっていきます。
積み重なる時点でインキが乾いていれば良いのですが、実際にはインキがセットされた状態で積み重なっていきます。(わかりやすく言えば半乾きの状態)
この状態で次々に積み重なっていくと裏移りなどのインキが上下の用紙に付着してしまう問題が発生してしまいます。一般的なオフセット印刷ではデリバリー部分にパウダースプレー装置を設置し、パウダーを散布し紙と紙の間に微細な隙間を作って紙同士が密着しないようにします。
密着させないことにより、酸化重合によるインキの硬化を促す効果もあります。
パウダーの使用時の問題点
パウダーを多く使用することで裏移りなどの問題は解消されますが、印刷物にパウダーが多くスプレーされていることによる印刷面のざらつきが発生したり、印刷物が白っぽく感じたり、折加工・断裁時にパウダーが作業や保守の障害になったりする場合もあります。
パウダーを減らすには乾きやすい用紙・インキを選択する、湿し水を極力絞る(減らす)などの方法が考えられます。
一般的にPP加工やニス引き加工などを行う場合は、PP加工やニス引き加工にパウダーが混入してはいけないので、粉取りというパウダーを印刷物から除去する作業を行ってから加工を行います。粉取りは印刷機に空通し(インキをセットしないで用紙を通す)やブロアーなどによる風入れなどによってパウダーを除去します。
なお、UV印刷の場合はUV照射により瞬時にインキの表面が硬化するので、基本的にパウダーは必要ありません。
吉田印刷所の取り組み
吉田印刷所では、印刷の湿し水を極力絞る、デリバリーの紙の排出・積み上げの安定化などの印刷工程の改善によりパウダーの使用量を削減することに取り組んでおります。
この結果、印刷機の近くにプレートセッター(CTP)を配置できる程、クリーンな作業環境が構築できました。
▲印刷機から見えるすぐの位置に設置してあります(横に見えるのはオフセット印刷機のSpeedmaster SM102です)
▲印刷機から見えるすぐの位置に設置してあります(手前の黒い部分はオフセット印刷機のSpeedmaster XL105です)