解説
無塩素漂白パルプとは、用紙を抄造する際に行うクラフトパルプの漂白工程で塩素ガスを使用せずに、オゾン・二酸化塩素・過酸化水素などを使用して漂白を行ったパルプ(用紙の原料のひとつ)のことです。塩素ガスを使用しないことで有機塩素化合物(AOX)の発生を防いでおり、環境や人に優しい用紙を作るパルプになっています。
ECFとは、Elemental Chlorine Freeの略です(Chlorineは塩素のこと)。
無塩素漂白パルプではない用紙は、多くはクラフトパルプの漂白工程では塩素・次亜塩素酸塩・二酸化塩素・過酸化水素などを使用して漂白を行っていたそうです。この塩素・次亜塩素酸塩が有機塩素化合物(AOX)を少なからず発生させることが問題になっていたため、この2つの成分(塩素・次亜塩素酸塩)を使用せずに、主にオゾン、二酸化塩素、過酸化水素などを使用して漂白する方法が開発されたようです。なお、二酸化塩素は塩素による漂白ではなく、酸素を利用した酸化による漂白を行っているようです。(王子製紙の『社会・社会・環境報告書2004』による)
また、漂白に塩素を使用しないため、漂白するクラフトパルプの繊維へのダメージが少ないのもひとつの特徴で、繊維へのダメージを抑えることでリサイクルしやすいパルプになります。パルプは用紙になり、またリサイクル時にパルプになりますが、無塩素漂白にすることで、このサイクルをより長くすることができ、資源の有効活用が促進されます。(北越紀州製紙の「ECF」の説明ページによる)
▲北越紀州製紙の無塩素漂白パルプ・ECFパルプを使用した用紙には魚のマークのラベルが貼られています
※有機塩素化合物(AOX)は、分解されづらい・蓄積されやすい・毒性が強いため、地下水汚染・生体内蓄積・オゾン層の破壊などの環境問題を引き起こす化合物です。(EICネットの「有機塩素化合物」の説明ページによる)