解説
IPAとは、Isopropyl Alcohol(イソプロピルアルコール)のことで湿し水などで使用されるアルコールの一種です。
IPAは、水と混ぜ合わせると表面張力が低下し、粘性が上昇します。
IPAを使用した湿し水はこの特性を利用して、より簡単な印刷をするために開発されました。
表面張力が低下することによって、湿し水がより平滑になりやすくなり、版面全体に湿し水が行き渡りやすくなります。また、粘性が上昇することで、湿し水用の複数のローラー間の湿し水の移動が容易になり、湿し水を供給するところから刷版まで行き渡りやすくなります。
こうした優れた利点がIPA入りの湿し水にはありますが、IPAはいわゆるVOC対応を求められている現在では極力使用しない方向に向かっています。危険性としては、IPAの高濃度の蒸気を吸引すると吐き気や頭痛などの中毒症状を引き起こす場合もあり、また、引火性も強いため安全上の問題があるといえます。
これらの危険性を解消するために、現在ではIPAを全く使用しない湿し水(=IPAフリーの湿し水)が開発され、使用されています。IPAを全く使用しない湿し水での印刷は「ノンアルコール印刷」と言われています。
関連情報・参考資料
- 光陽化学工業 製品紹介|湿し水関連用品|コーヨー湿し水シリーズ エッチ液 SOLAIA(ソライア)シリーズ(IPAを全く使用しない湿し水)
- MSDS:イソプロピルアルコール(石油化学工業会)
- イソプロパノール - Wikipedia
- ノンアルコール印刷(DTP・印刷用語集)
- オフセット印刷技術と手順