解説
植物油インキとは、印刷インキ工業連合会が、2008年12月に定義や使用基準を定めた植物油、または植物油を原料としたエステルを一定の割合以上含まれたインキ(インク)のことです。
植物油とは、大豆油、アマニ油(亜麻仁油)、桐油、ヤシ油、パーム油等植物由来の油、およびそれらを主体とした使用済み食用油などをリサイクルした再生油と定められました。
2009年2月より植物油インキ製品へのマーク表示が開始されており、吉田印刷所でも植物油インキ使用登録を既に完了しており、2009年6月の印刷分から植物油インキマークが掲載されたインキを使用しております(通常のプロセスカラーにおいて)。
吉田印刷所の登録番号は「0064」です。
植物油インキ制定の背景
環境配慮のインキとして有名なものに、大豆油インキがありますが、その名の通り大豆を原料としたインキのみを対象としています。
枯渇性資源である化石燃料からの代替を目指して大豆油インキは広く普及してきましたが、技術の発展などにより、大豆油以外の食用・非食用の植物からもインキの成分を抽出し、利用できるようになってきました。
このため、大豆に限定した「大豆油インキ」ではなく、大豆を含む植物全体にその範囲を広げた「植物油インキ」というものの定義が求められてきました。
また、植物油インキの制定とともに植物油インキマークを発行することによって、植物油を利用したインキを使用した環境配慮の印刷物ということが印刷物を手に取るエンドユーザーなどにも認知されることになります。
インキ中の植物油含有基準量(重量%)(日本インキ工業連合会の定義より抜粋)
- 枚葉インキ:20%以上(特色の金、銀、パール、白インキの場合は10%以上とします)
- 新聞オフ輪インキ:30%以上
- 各種UVインキ:7%以上
吉田印刷所では枚葉印刷機でプロセスカラーにて印刷を行っておりますので、植物油の含有量は20%以上になっております。
植物油インキマークについて
植物油インキマークを印刷物に掲載したい場合は?
吉田印刷所での印刷は窓口までご連絡ください。ロゴのデータをお渡しします。
吉田印刷所での印刷に限りお渡ししたデータを使用できます。それ以外の用途では使用しないでください。
植物油インキマークの使用できるサイズ
最小使用サイズは横15mmです(縦は10mm)。
植物油インキマークの周辺はマークを正しく認識できるよう、空き(クリアスペース)が必要です。
縦横の空きは、植物油インキマークの縦横サイズの0.25倍のサイズを確保して下さい。
- 例:植物油インキマークの横15mm・縦10mmの場合は、横3.75mm・縦2.5mmの空きを確保
植物油インキマークの使用できるカラー
植物油インキマークのカラーはC78%M25%Y95%のグリーンです。
特色を使用する印刷物の場合は特色のベタ(100%)でご使用ください。
背景が黒などの場合は白抜きで使用することもできます。
植物油インキマークの使用禁止例
以下の表現方法は禁止されています。
- 変形
- 基本色以外での配色
- バランスの変更・ロゴの分解
- 書体の変更
- 縁取り加工
- 反射表現加工
- 認識しづらい背景デザイン処理
- 文章中のマークの使用
出典:印刷インキ工業連合会作成『植物油インキマーク[デザインガイドライン]』
植物油インキマークと大豆油インキマークの違い
植物油インキと大豆油インキは認定している機関そのものが違います。
このため大豆油インキだからといって、必ずしも植物油インキの認定がされているわけではありません。
植物油インキマークを印刷物に入れる場合は、必ず印刷会社に使用しているインキが植物油インキの認定を受けているかどうかをご確認ください。
また、植物油インキは大豆に限定していませんので、より広範囲なインキの認定がされることになります。
大豆油インキの解説は、以下のページをご覧ください。
関連情報・参考資料
- 植物油インキ(印刷インキ工業連合会)
- 植物油インキQ&A(印刷インキ工業連合会)
- EICネット[環境用語集:「廃食用油」]
- “ソイインキ・大豆油インキ・SOYINK” の意味・解説(DTP・印刷用語集)