“PDF/X-3” の意味・解説

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読み

  • PDF/X-3…ぴーでぃーえふ えっくす すりー

解説

PDF/X-3とは、印刷用途向けの規格である「PDF/X」のひとつです。ISO 15930にて規定されています。

PDF/X-3PDF/X-1a上位規格と言えるものです。


PDFのバージョンは、PDF/X-3:2002(ISO 15930-3:2002)ではPDF 1.3がベースとなっており、PDF/X-3:2003(ISO 15930-6:2003)ではPDF 1.4がベースとなっています。


主な仕様(決まり)について

主な仕様は以下の通りです(全てではありません)。

  • カラーはCMYK・グレースケール・特色・CalRGB(Calibrated RGB)・CIELAB・ICCプロファイル付きのカラーが使用できます。
  • 全てのフォントは埋め込まれてなければいけません。
  • OPIは禁止されています。全ての画像はファイルに埋め込まれていなければいけません。
  • マルチメディア情報(音楽や映像など)やスクリプトは含めることができません
  • 断裁の位置(トリムボックス)と断ち落としの位置(ブリードボックス)の指定が必要です。
  • トランスファー関数は使用できません。
  • トラップの有り無しの指定が必要です。
  • LZW圧縮の使用は禁止されています。これはPDF 1.4がベースとなっているPDF/X-3:2003でも同じです。またPDF/X-3:2003ではJBIG2圧縮も合わせて禁止されています。
  • 暗号化などのセキュリティ情報は禁止されています。
  • 透明情報を含むことができません。透明情報を含むオブジェクトの分割統合処理が必要です。これはPDF 1.4がベースとなっているPDF/X-3:2003でも同じです。

PDF/X-1aはカラースペースにCMYK・グレースケールと特色しか使用できませんでしたが、PDF/X-3CMYK・グレースケールと特色以外にも、CalRGB(Calibrated RGB)、CIELAB、ICCプロファイルが付いたカラーも使用できるようになりました。このため、いわゆるRGBワークフローでも利用できる規格となっています。

また、PDF/X-3:2002とPDF/X-3:2003ではPDF 1.3と1.4と異なりますが、透明情報を含むことができないなど、大きな違いが無い事がわかります。



一般的な印刷のデータについて

一般的な印刷のデータとしてPDF/X-3が積極的に使われることはなく、ほとんどの場合、PDF/X-1aもしくはPDF/X-4形式のPDFが使用されています。



雑誌広告用のPDFデータ「J-PDF」について

PDF/X-3はカラーマネージメント利用のワークフローに適したPDFの規格となっているため、雑誌広告データのためのPDFの規格「J-PDF」ではPDF/X-1aではなく、PDF/X-3が採用されています。(ただし、今後はPDF/X-4を採用する予定もあるとも記載されています)

PDF/X-1aは作成時にカラープロファイルを設定する必要があり、JMPAカラーの色調管理規定と矛盾が起きるので、支障のないPDF/X-3準拠を採用しております。大手印刷会社と協議を重ねて決定した仕様です。
J-PDFはなぜCMYKのPDF/X-1aではなく、PDF/X-3なのですか?-デジタル送稿 J-PDFに関して-よくあるQ&A-雑誌デジ送ナビ


また、制作ルールダウンロード-雑誌デジ送ナビのページに掲載されている「J-PDF2011制作ガイドpdf」の21ページ目のPDF/X-3:2002の備考欄には以下の記載があり、意図しない変換を防くためであるとも書かれています。

不用意なカラー変換を行わないようにするため。さらに、不必要なカラーはプリフライトにて検出することを目的としているため。
J-PDF2011制作ガイドpdf(P21)