解説
折り糊綴じ製本とは、面付けしたページを折り上げていく際に糊を付けることで、中綴じのような製本を行うものです。
製本用の針金を使わない環境対応型の製本になります。
エコ綴じとも呼ばれますが、他の環境配慮型の製本方式も同じく「エコ綴じ」と呼ばれることがあり、注意が必要です。
そういう意味では「折り糊綴じ製本」の方が確実に伝わります。
JAGATのページより
JAGAT(公益社団法人日本印刷技術協会)のサイトの「ナンデモQ&A:後加工 糊綴とはどういう綴じ方ですか。」のページにも糊綴じの説明が掲載されています。
- 糊綴とはどういう綴じ方ですか。(JAGAT)
Q:糊綴とはどういう綴じ方ですか。
A:折りと綴じをインラインで行い、綴じ部分を糊を使用する方法を糊綴じといいます。糊そのものは水性系のボンドが主体で紙質によってはホットメルトが使用されます。糊付製本は折機メーカーが折機の中で中綴じ製本ができないかということから考えられており、折機の中でフィニッシュできる製本機ということで開発されたものが糊付製本機です。
糊綴とはどういう綴じ方ですか。(JAGAT)
糊付製本で単純なものとして直角2度折り8ページの冊子があります。一回折ってもう一度折るという工程の中で糊注しをします。刷り本が搬送されて折り目になるであろう部分に機械の先端部分に取り付けられているボールペンの先のような形をしているノズルから糊が噴射され、この糊注しされる距離はコントロ-ラ-にプログラムされています。そして二つ折りされると糊が付着された部分が接着します。その次にまた折られて天地小口を断裁すると8ページの冊子になります。
糊綴とはどういう綴じ方ですか。(JAGAT)
「糊綴とはどういう綴じ方ですか。」のページは本文から株式会社正栄機械製作所様の協力で作成されているようですが、株式会社正栄機械製作所様のサイトには糊綴じ機(糊付製本システム)の動画ファイルも掲載されております。
上記のJAGATの説明はそちらの動画を見ると分かりやすいです。
画像出典:印刷製本機械の紙折り機 糊付製本システム(株式会社正栄機械製作所)
目的・メリット
「中綴じ」「平綴じ」などで使用される針金(ステープル)を使用しない折り糊綴じ製本は、以下のような目的・メリットがあります。
- 食品メーカー・病院・製薬会社・飲食店で、現場に針金などの金属が混入するのを防ぐため(異物混入防止・PL法(製造物責任法)対策)
- 保育園・幼稚園・小学校・介護施設・学習教材メーカーで、小さなお子様やシニアが針金の金属でケガをするのを防ぐため(安全・安心確保)
- 企業やNPO団体で、環境に配慮し、リサイクルをしやすい印刷物にするため(基本的に紙だけなので分別しやすい・シュレッダーに掛けやすい)
注意点・デメリット
糊付け加工されたページは完全に見開きになりません。
このため、糊付け加工があるページではデザイン面でノド側(中央)に来る文字や画像が見えない部分が発生するので、レイアウトに注意する必要があります。
糊付け加工が必要なページは、前半または後半のいずれかを選べます。デザインに合わせてお選びください。
同じように糊で綴じる「無線綴じ」と異なり、ページ数が多いものは糊の強度の問題で困難になります。
目安としては12ページ程度までがオススメできるページ数です。
デザインデータ作成上の注意点
デザインデータを作成する際は、糊が付くページのノド側に各5mmのエリアに、切れてはいけない文字・図形・写真を配置しないでください。
ノドの部分は糊綴じされると見えなくなります。