表記・読み
- 検版…けんぱん
- デジタル検版…でじたるけんぱん
解説
検版とは、印刷用の刷版・フィルムに製版(焼き付け)した後に、その版・フィルムを検査することを指します。
検査では、刷版に面付けしたデータが意図した状態で製版されているか、刷版にキズや汚れはないか、製版の焼き付けが正常に行われているかなどを確認します。
面付けしたデータが意図した状態で製版されているかどうかの判断は、フィルム・プリンター出力・印刷物などと比較して確認します。
無処理版では、製版後に特定の処理をしないと製版した絵柄が見えないので、キズや汚れなどの確認のみ行う場合があります。
上記のように「製版後」の版・フィルムの検査のことを主に検版といいますが、デザイン・組版やデータ入稿(製版)や印刷の工程でも「検版」「デジタル検版」と言われる検版があります。
デザイン・組版工程の検版
デザインや組版工程での検版とは、校正による指摘やお客様からの原稿の修正が指示どおり行われているかを確認することを指します。
アプリを使用して修正前と修正後の原稿の変更箇所を抽出して比較表示するものや、修正前と修正後の原稿の比較を簡単にするものもあります。デジタルデータ同士で比較するので「デジタル検版」と呼ばれることもあります。
原稿の比較として手軽なものとしては、修正前と修正後のPDFをAcrobatを使用して比較し、変更箇所を抽出する機能があります。
例として、以下の修正前(上)と修正後(下)の2つの原稿(PDF)を比較します。
ひとつずつの画像に分けたものが以下の2つです。
Acrobatの「ファイルを比較」を選択します。※Acrobatのバージョンは2019.021.20056です
比較する2つの原稿ファイルを読み込み、「比較」ボタンを押します。
Acrobatが変更された箇所を抽出し、表示します。
変更された箇所は以下の画像の薄いオレンジ色でハイライトされた部分です(6箇所)。わかりましたか?
データ入稿(製版)工程の検版
印刷会社へ印刷データを入稿する際に、編集アプリから画像データを書き出して、印刷データと一緒に入稿し、印刷データが制作者の意図どおりに印刷会社で開けているかを確認することも検版(デジタル検版)と呼ばれることもあります。
具体的にはIllustratorやInDesignなどから200dpi程度の画像を書き出し(主にTIFF形式)、その画像ファイルと一緒にIllustrator・InDesignファイル(印刷データ)を入稿します。この画像ファイルと印刷データを専用のアプリやシステムなどを使って比較を行い、意図したとおりに開けているかを判定します。
印刷工程の検版
本印刷したものと、プルーフ(校正用に出力した印刷物)や印刷データ(刷版データ)とを比較して検査することも検版と呼ばれることもあります。
本印刷したものやプルーフをスキャン・撮影して比較したり、印刷データと比較したりして意図とおりに印刷されているかを確認します。
関連情報・参考資料
- CTPとプルーフ・検版(JAGAT)