表記・読み
- エージング…えーじんぐ
- エイジング…えいじんぐ
- 熟成…じゅくせい
解説
エージング(ageing または aging)とは、紙のメーカーの用語で、抄造された紙の湿度を均一にするために置いておく(寝かせておく)一定の期間のことです。熟成ともいわれます。
期間は用紙により異なるようです。
抄紙された直後の用紙は一応湿度の調整は行われていますが,湿気ムラが用紙のあちこちにあります。それらの湿気を全体に平均にしなければなりません。
用紙のエージングとシーズニング(009-2)(JAGAT)
紙をある期間以上「寝かす」と、紙は呼吸しているうちに、環境になじみ、含有水分や伸縮程度、紙ぐせなどが安定した状態になります。これを熟成(エージング)効果といいます。熟成とは、紙慣らしともいいますが、紙を適当な条件下に保管している間に、その特性を好ましい状態に変えることを言いますが、このように、紙を時間を掛けて呼吸、すなわち吸湿と脱湿を繰り返しますと、次第に落ち着き、安定状態になります。
コラム(6) 紙は生きもの - コラム(紙への道)
また、用紙に表面加工(PP加工・フィルム加工・ラミネート加工など)を行った後に、加工を安定化させるために置いておく一定期間のことも指します。
JISでの定義
JIS P 0001:1998(紙・板紙及びパルプ用語)の「紙及び板紙の製造」によればエージングは以下のように定義されています。
物質を一定条件の下に保持し,使用目的に適合するように化学的変化若しくは物理的変化を進行させる操作又は現象。熟成ともいう。
参考 例えば,サイズ剤,紙力増強剤,防湿剤処理などで行われる。
紙又は板紙の品質が,時間の経過とともに劣化すること。老化ともいう。
JIS P 0001:1998(紙・板紙及びパルプ用語)
英語表記のageingとagingの違い
Wikipediaの解説「Dropped "e"」によれば、イギリスの英語では、音を出す必要のある「e」は「e」を削除することもあり、アメリカの英語では必要がある場合だけ「e」を残すそうです。
British English sometimes keeps a silent "e" when adding suffixes where American English does not. Generally speaking, British English drops it in only some cases in which it is needed to show pronunciation whereas American English only uses it where needed.
American and British English spelling differences - Wikipedia
つまり、ageingとagingはどちらも英語としては正しく、ageingはイギリスの英語、agingはアメリカの英語ということです。
なお、JIS P 0001:1998(紙・板紙及びパルプ用語)では、ageingとagingともに記載されています。
関連情報・参考資料
- 紙について(6-3) 紙の特徴《紙と湿度》 - 紙について(紙への道)
- コラム(6) 紙は生きもの - コラム(紙への道)
- 紙の基礎講座(9-1) 知っておきたい紙の基本品質Ⅳ 紙と湿度について - 紙の基礎講座(紙への道)
- 用紙のエージングとシーズニング(009-2)(JAGAT)
- 紙の特性 親水性(株式会社TTトレーディング)
- American and British English spelling differences(Wikipedia)
- イメージ画像:クロック 目覚まし時計 時計(Pixabay)